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忍、というのはなかなかシビアな職業だと思う。
もっぱら、というか本業が裏方作業。
トップができない汚いことをやるのが忍。
疑うのが仕事みたいなもんなのだ。
そんな忍を育生する学校であるからには、こんなに平和そうに見えるここだって綺麗事ばっかじゃないんだろう。
そうじゃないと、良い忍なんてものは作れない。
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「名前さん。あなた、何者ですか」
瞳の奥を尖らせて、笑っているのに笑ってないというのはこんな表情のことをいうのかと思わず納得してしまう。
私でもわかるぐらい辺りにはうっすらとした殺気(私は素人なので多分がつくが)に包まれて、迂闊に笑い話など切り出せない状況だ。
「私はただの人だよ。裏も深みもない、むしろある方が可笑しい一般人」
私を疑っている眼は、依然として動かない。
「私は、貴女が疑わしい」
目を一層細め、警戒心びしばし。
確か、この子は六年い組の、立花仙蔵くん、だったか。
美人な子だよなぁ、と思う。本当の女の子より綺麗なので、女の私としては神様にクレームをつけたい限りだ。
サラサラした髪は見てるだけで触りたくなるし、肌だって白くてすべすべしている。タッチはOKでしたっけ?
「私は怪しい。そんなことは知ってる。だけど、そちらは赤子の手を捻るように私を害することができるんでしょう?私のことなんて簡単に殺せるでしょう?だから、いいじゃないか。私は、君たちに抵抗する術がない。それだけで、今のところはいいじゃない」
まっすぐに"お前を疑っている"、と言うところが非常にほほえましい。いや、彼らしい、と言うべきか。
疑うことが悪いことだとは思わない。
寧ろ、この場合は警戒する方が正解だと思う。
これも学園側の仕組みなんだろう。
より良い忍者を育成するため、か。
大人なんて、嫌いだ。
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