孤児院では、時々子供を引き取りたいと言う人が訪ねてくる。
まぁそれも孤児院がある理由の一つなのだが、良い方に引き取って貰った子はそれで幸せだろう。しかし、子供を興味本意の浅はかな気持ちで引き取り、結局虐待などを加えるようになってしまう親。自分の子だとわかって嫌々引き取る親。
そんな者達に引き取られてしまった子供に、あるのは絶望。
間違った親に引き取られたくない私たちは、嫌でも人を選別する目を持たなくてはならなかった。
信用できるか?自分を愛してくれるか?そして、自分はその人物を愛することができるか?
元々"大人"というものを信用することに若干でない拒否を見せる私たちは、誰かが引き取られるということは少なかった。
私は大人というものを簡単には信用することができない。



***



「「「事務員のおねーさんこんにちはー!」」」

「こんにちは、今日も仲良しだね」

廊下ですれ違った三人組のハモった挨拶を聞いて、ほほえましい気分になった。
笑顔で挨拶を返したが、内心では可愛くて可愛くてたまらない子達を撫でくりまわしてぎゅっぎゅーしてお昼寝でもしたかった。が、生憎今は仕事中。
仕事を放棄して遊ぶとか何それ喧嘩売ってんの?社会ナメとんのかテメェ。てな行為だと私は思っている。

「小松田さん、この書類ここに置きますね」

「あ、名前さんありがとうね!」

私と同じ事務員の小松田さんは、ちょっとドジなことを除けばかなりの良い人である。
仕事をしっかりやろうとする気概は私も尊敬するところだ。
しかも、仕事の間を縫って私に字まで教えてくれているのだから、全く彼には頭が上がらない。

ここに来て一週間経つが、やっと仕事にも慣れてきたし、字も歪で時間はかかるが書いたり読んだりすることができるようになってきた。
ふと、目があった緑色の衣を纏った子は、私を感情の無い目で見つめて去って行った。
今の子は、濃い緑色だから六年生か。

流石上級生、と感嘆。


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