私は孤児院生まれだ。

孤児院には当然のだが孤児が居る。
高校を卒業したお兄さんが就職して、1つ下の私が孤児院で最年長になった。
だから、私が今ここで一番のお姉さん。
少子化を辿っている現代、子供が少ないのは孤児院でも一緒。
私と一緒の年齢の子供はここには居ない。
孤児院の子供は、親に捨てられたりと悲惨な過去を持つ子が少なくない。だから特別外には排他的だが、身内での結束はとても固い。
皆で協力して生きていく、そう決めたから。



***



私はお姉さん気質だったから、小さい子の面倒を見るのが苦でなかった。
だからか、小さい子が私は好きだ。
単に、孤児院暮らしで大人が信用出来なくなってその分が年下に行っただけかもしれないが。

…ここからは与太話になるが。
私には、ベリベリキュートな妹が居る。
…まちがえた。ベリベリキュートなんて言葉じゃ私の妹の可愛さの一億分の一も表せてない。地上に存在する全ての言葉でも妹の可愛さを表すことなんて出来ないのだから、当然か。
孤児院では皆が兄弟みたいなものだが、私と妹はちゃんと血が繋がった姉と妹である。私が8歳、妹が3歳の時にこの孤児院にやってきた。
妹は昔から、私を見ては笑顔で「お姉ちゃん!」と駆け寄ってきてくれて、ああもう可愛い!…こほん。今年中学校に上がったばっかで、思春期とか来てるはずなのにそんな素振りなくて相変わらず慕ってくれる。
そりゃあいつの日か妹だって姉離れする日が来るのだろうが、…そんなんやだ!…ごほん。それまでは精一杯可愛がろうと思っている。

私は孤児院の子達が大好きだが、妹は愛している。
…孤児院の子供達も、今は目一杯慕ってくれているが、いつか「名前姉ちゃんとお風呂入りたくない!」とか言い出すのだろうか。かなり複雑である…。
そんなこんなで私が世界で一等愛してるのは妹と孤児院の子供達だ。

「愛してるよ、晶」

「いきなり何言ってんの名前。大丈夫?頭。蛆虫沸いてんの?」

私の一つ下の晶こと北条晶くんにそう言ったら、馬鹿じゃないの?っていう目で言われた。辛辣だった。
この子は一見冷たくて取っ付きにくそうだが、優しくて良い子であるので心配無用。俗っぽく言うならツンデレさんなのだ。

「私、ここに居れて幸せだよ。だから、」

………だから、何なのだろう。
あれ?と首を傾げる。
この言い方じゃ、まるで私は死ぬみたいではないか。
私は至って健康体だ。なのに。
自分が何言いたいのか分かんなくなった。
まるで何かの前兆みたいだね、と内側で小さく囁かれた声を無視する。

「…名前、本気で具合悪いわけ?大人しく部屋帰って寝たら。僕これやっとくから」

晶がデレた!じゃなくて。

「ん、わかった。ごめん、頼むね」

「後でジュース奢ってよね」

「はいっさー」

「100本」

「まじで!?」

「嘘」

「………………」


まぁ、弟分に素直に感謝しよう。明日は、晶の好きな献立にするか。


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