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「ねね、兵助くんってさ、私の事好きなの?」
いきなり言われた台詞に、脳が完全停止した。
………………。
「いや、いやいやいや!?」
「行き成り何言ってんだお前!?」
「兵助!?へいすけー!!?」
「いやー、なんかさ。くのたまの後輩がさ、『久々知先輩はぜぇったい名前先輩好きですってぇ』って言うからどうなんかなーって思って」
「だからって本人の目の前で言う事じゃなくないか!?」
「そう?私の一つ下の可愛い後輩は『せーんぱい。自分のこと、好きですかぁ?』って言ってくるよ?」
「さっきからそれ絶対歯舞円だろうが!アイツ確信犯か!?」
「女の子同士で言うのとは意味がぜんぜん違うよ…」
「八。今の私の前でアレの名を出すな。本っ気で止めてくれ」
「あ…。三郎、すまん…」
「……」
「……」
「兵助。いいの?」
……はっ。
「勘、ちゃん?」
「今、言わなくていいの?」
……。
今。
あれから1年たって、俺たちも5年生になった。
あの日友達になった深和も、5年生。
何とか仲良くなって、今ではかなり仲良くなったと思う。(最初はまともに話せなかった。)
今でも俺は深和の事が大好きで、だけど仲良くなってしまったが故に中々切り出せなかった。
そのチャンスが、今あるというなら。
「名前!好きです!」
………。
「兵助ってさあ、何気に一直線だよな」
「確かに。あの時もそうだったけどひねりが無さ過ぎる」
「名前首傾げてるぞ。あっちもあっちでわかってんのか怪しくないか」
「兵助も天然だけど、名前もぼけっとしてるからな」
「しっ。二人とも、静かにして」
「「はーい」」
「いいよー」
え、
「「まじで!?」」
「オイちょっと名前!お前ホント、いやいやお前、本っ当に分かってるか!?」
「ちょ、変に勘違いしてるんじゃないよね!?」
「わかってるよ?好きです。付き合ってくださいってことでしょ?」
「わかってるの!?」
「返答早すぎね!?」
「こういうのってもっと、考えるもんじゃないのか!?」
「考えたよ。私、兵助くんのこと好きだもの。こんくらい」
ぎゅーっと名前が抱きついてきた。
え、え、え。
「兵助くん。超お慕いしてる。だいすきー」
うばばばばば。
「おっま、軽っ!」
「何から何まで予想のつかない奴だ…」
「まさか兵助の恋がこんな形で決着付くなんてね…」
はわわわえっとだ、これってつまりは、
「兵助、おめでとう」
「……………!!!!」
「そうだ。豆腐に関してはお互いノータッチで」
「…、そうしよう」
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