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「お友達になって下さい!!」
………。
あれ、なんだこの状況。
何で私こんな顔真っ赤にした久々知くんにこんな事言われてるんだ?
珍しく私が用事でくのたま長屋の敷地から出て、ばったり久々知くんと出会ったら先ほどの台詞を言われた。ここに至る理由が分からん。
………うーむ。
ぽむ。
もしかして、餌付けしたから?
そうだよ。私が毎日久々知くんが大好きな豆腐をあげてたから。納得。
懐かれた?いや、久々知くんは動物じゃないんだけど。
なんだなんだ。いや、こんなに顔真っ赤だからてっきり告白でもしにきたかと。ない
なー。
よく久々知くんの事知らないけど、まさか豆腐を貰ったからって人を好きになるような人じゃない事は分かってるもの。
うんうん。
「いいよー。私名前。久々知兵助くん、よろしく」
にこり。笑って言うと、久々知くんは目を丸くして、それから嬉しそうにはにかんだ。
(あれ)
……?
何か違和感あったけど、まいっか。
ていうか久々知くん、ちょー可愛いな。そこらの女の子なんて目じゃない。つまり私よりも可愛い。これは自信をもって言えるな。
「マジか!?」
こっそこそ盗み聞きしてたのはわかってたけど、何こいつ等。
「…っ何でついて来てるんだ!!」
「すまん兵助!」
「どうしても気になって!ごめん」
「いやー。おもしろ…どうなるかなーって」
一人出てきたらぽこぽこでてきた。
叩いたら引っ込んでくかな。もぐら叩きみみたいな要領で。
「名前さん。ありがとう」
沸いて出てきた奴らの中の、うどんみたいな奴にお礼言われた。何で?
この人もなんか美人…っていうか可愛いな。髪がうどんだけど。
「あんた等、久々知くんの友達だっけ」
思い出した。なんか久々知くんと仲良しさんな奴ら。
名前は知らん。が、確かあの髪ふさふさのどっちかがはちや、だったような。
「そうだよ。俺は尾浜勘右衛門」
名前長い。
「お前よく兵助と友達になるのOKしたな」
面白そうに愉快そうににやにやと笑うふさふさ。
こっちの反応を観察しているようで、いらっとする。
変態名人と聞いているから、こっちがはちやだな。
「何で?」
「だってお前、豆腐嫌いなんだろう?コイツ豆腐小僧だぞ」
いや別に知ってるけど。
そうじゃなきゃ豆腐処理なんて頼まないし。
何。こいつ、私は豆腐嫌いだから豆腐大好きな久々知君も好きじゃないって言いたいのか?
それならアホかこいつって脳内にインプットするぞ。
「あのさ。私は確かに豆腐が嫌いだよ。
けど、嫌いな豆腐を好きな人まで嫌うような心の狭さは持ち合わせてないの。
大体、そんなの人それぞれでしょ。私は嫌いを人に押し付けるつもりないし」
坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、ていうのは理不尽だと思う。
そう言うと、はちや(仮)は目を丸くし、何故か笑い出した。
「あっはっは!兵助、よかったなぁ!」
ふむ?兵助くんのための失礼な発言だったのか。ならちょっと見直す。
「お前良い奴だな!俺、竹谷八左ヱ門っていうんだ。よろしくな!」
……モップだ。いや、焼き蕎麦か?
「三郎がごめんね!僕は不破雷蔵だよ。よろしく」
うわ、同じふさふさでもぜんぜん違う。良い人じゃん。
「私は鉢屋三郎だ」
別に知らなくても良いや。
…これ、全部で5人と友達になったのか?
友達100人目指すわけじゃないんだが。
「ま、いいや。兵助くん、改めてよろしく」
手を差し出したら、真っ赤な顔をして手を差し出してきた。
兵助くんって、照れ屋さん?可愛いなぁ。
あーくしゅ。
友達が5人増えました。
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