あれから、あのくのたまは豆腐がある日いつも豆腐を俺にくれる。





「5年くのたまの名前」

「だれそれ」

「兵助が好きな人の名前だってさ」


ぼふっ!っと顔が赤くなった。


「勘ちゃん情報はえーなー」

「兵助、顔まっかー」

「ちなみに手に持ってるそれってやっぱ…」

「うん。情報の見返りとしてこれを試して来いって」

「やっぱ歯舞円か…」

「わかってたから触れないようにしてたのに…」

「……」

「はい、鉢屋」

「ちょ、私!?よりによって私!?ソレを私に飲めって言うの!?あと名前で呼んで勘右衛門!」

「三郎ガンバレ!」

「大人しく犠牲になったら?」

「雷蔵酷い!!」

「日頃の行いでしょう?」



「で、兵助。その名前さんなんだけど…へいすけー?」


……はっ。気付かなかった。


「な、なななに」


「名前さんなんだけど、」



「勘ちゃんこっちはお構いなしに話進めてるなー」

「兵助動揺しすぎ…」

「というか私はコレをどうすれば…」



「名前さん、豆腐嫌いなんだって」



「………っっ!!」



「兵助が絶望的な顔してる!!」

「な、何もそんなところから話さなくても…」


「それ、致命的じゃないか?」

「……っっっ!!!」


「っこら!傷口に塩を塗るような真似はよせ!」

「そうだよ!止めなよ三郎!」


「致命傷だよ」


「かんえもーん!?」


「ただでさえ、兵助は常識を超えて豆腐の彼方まで豆腐脳だから」

「豆腐嫌いじゃない私達も嫌気がさすほどだしな」


「…………」


「今は豆腐押し付けるのに兵助使ってるだけだしね」

「見込み零だな。付き合うどころか友人にもなってくれなさそうだ」


「……ぅっ………ふ…!」


「やめてあげてぇー!」

「それ以上兵助に塩をねじり込むのは止めてぇー!」

「兵助泣いちゃったじゃねぇか!」


「俺が、俺が豆腐なのに豆腐はサザンガ……きゅう?」


「ほら混乱しまくってる!」

「鬼か!お前らは鬼なのか!」

「雷蔵、八。兵助を甘やかしちゃだめだよ」

ぽん、と両肩に手が置かれた感じがして、顔を上げる。


「兵助。俺は兵助の味方だから。

兵助は、豆腐だけじゃないよ」


「勘ちゃん…」


光…?勘ちゃんの後ろから光が…!


「アドバイスとか、相談なら、俺たちがいくらでも受けるから。兵助が望むようにやってみなよ」


「勘ちゃぁあん!!」


感極まって、勘ちゃんに抱きつく。


「兵助に人間で好きな人ができるなんて…っ!」





「何この茶番劇…」

「勘ちゃん最後のが本音だね…」

「俺“たち”って俺らも手伝うのか…」



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