るんるんぎゅー。


「うわっ!?名前先輩!?何するんですか離してください!」


「左近可愛い。あたしもう左近から離れないわそうカルピスのように」


「何わけわかんないこと言ってるんですか!?頭沸きましたか!!」


ああもうその厳しい罵倒大好き。Mになれそう。あたしどっちかっていうとSだけど。

大好きすぎるから嫌がって離れようともがく体をさらにぎゅっと抱きしめる。無論痛くないように。


「大体名前先輩彼氏いるんでしょう!いいんですかこんなところ××先輩に見つかって!!」


××?

左近、何て言ったのかしら。

……あぁ。今、今後あたしの脳内で登場しないはずの言葉が出てきたから自動的に雑音が入るようになったのね。

人間って凄いわ。


「彼氏なんて居ないわよ。さっきふられたから」


あら?抵抗が止んだわ。

まぁ都合良くさらに抱きしめさせてもらうけれど。


「というわけで、傷心なあたしを保健委員として慰めてね」


傷心といいつつもそんな傷ついてないけど。

ほら、女は過去を振り切るのが得意っていうし。

あたしもその例に漏れずなの。

後腐れがあるの、嫌なのよね。

それにあたし、愛してくれない人を愛すなんて器用な真似できないの。

あたしは嫌いを嫌い、好きを好きで返す女よ。

…ああ、でもちょっと寂しいかもしれない。

これまであった物が無くなると、流石のあたしでも寂しいのよね。


「寂しいわ…」


びくり、と突然抱きしめていた体が跳ねる。

あら。口に出してしまったのね。

失敗失敗。くのいちのタマゴとして恥ずべきことだわ。


「…名前、先輩っ!!」


ずっとあたしに埋もれていた頭をがばりと上げ、真剣な顔で左近は言った。(顔、真っ赤だった。可愛い)


「ずっと前から好きでした!僕絶対先輩のこと寂しい思いさせません!!」



………。



………。



えっと。

告白?なのかしら。

左近らしくなくいつものツンが一個も無かったのだけれど。

いきなりで凄く驚いた。

一瞬思考が止まったわ。


…うーん。


顔を真っ赤にさせて告白をしてきた左近。


嫌いか好きか。


勿論好きだわ。


でも今まで一度もそういう相手として見てなかったから。

んん。でも、左近は本気なのよね。

小さいが故の勘違いじゃなくて。本気がびしばし伝わってくる。


…なら、いいんじゃないかしら。


正直左近の男前さにハートがどきゅんとしたし。

左近なら、あたしをずっと愛してくれそう。

あたしも、左近をずっと愛せるわ。

完璧。


「あたしも、左近愛してるわ」


そう言うと、元々赤かった顔がさらに赤くなった。あらら、大丈夫かしら。






「左近左近。ちゅーしましょう」

「ちょ、調子に乗らないでくださいっ!!」


ぷいっと顔を背ける左近。

あらあら。デレタイムは終わりなのね。



でも抱きしめてるのを拒否しないから、左近はツンデレなのよねぇ。



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