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「というかお前らもう結婚すればいいんじゃないか」
「三郎」
生きてたんだ、とひっそり呟かれた言葉を三郎は聞かなかったことにした。雷蔵はそんなこと言わない。
「そんなにベッタベタ引っ付いてたら付き合ってるどころか夫婦だろ。さっさと祝儀でもあげちまえこの野郎」
「でもそれって、根本的な解決にはなりませんよね?」
「名前は野郎じゃないだろ」
「いや、突っ込みどころそこじゃない」
「これじゃおれ、兵助達を守りたくなくなっちまうよ…」
「おいやめろ。濃霧注意報出させるな」
こういうところが五年生は団結力はあるが協調性は無いと言われる所以である。
身内ネタで盛り上がる五年。単体では割りとまともだが集まるとカオスだ。
「ていうかなんで兵助はそこまで据え膳で何も思わないわけ?不感症?ホモなの?」
「いや俺豆腐一筋だから。なんていうか、名前だと…うん、勃たない?」
…………。
一同、静まり返る。唯一名前はだよねーとうんうん頷いている。
「わたしも兵助くんに恥じらいとか湧かないもん」
言いながらよっこいしょと兵助の膝の上に乗る。兵助は何食わぬ顔でそのまま受け止めていた。色っぽい雰囲気など何一つないいつもの光景である。が、端から見ればただのバカップルだ。爆発しろ。
そして、その体勢のまま新しい豆腐屋がなんちゃらだとか、それなら一緒に買い物がてら行こう荷物持ちは任せたとか、やだよお前アホみたいに買い込むじゃないかとか話し出す。
あくまでつきあってない二人の会話がこれである。
周りの四人はしらーとした目でそれを見ていた。
もうこいつら、ほっとこう。
結局何一つ解決していないのだが、なるようになると問題を放棄した。割りといつものことである。
その後、名前と久々知兵助が付き合っているという噂が(鉢屋によって)流れたそうだが、本人達は至って普通であったらしい。
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