「…で、埒が明かないから私達を巻き込みにきたと」

場所は代わって名前と久々知は三郎と雷蔵の部屋に居た。
来る途中で、自室で暇そうにしていた勘右衛門と、廊下を歩いていた八左衛門を引き摺ってきたので、一つの部屋に六人もの人が集まっていることになる。流石に成長期の男が五人も集まるのは辛い。やたらむさ苦しい。

「二人で話し合っても一向に解決しなくて」

「皆のとこ来たのは単に面白そうだったからなんだけどね!」

「おい」

「まあまあ」

いらっとした三郎を宥める雷蔵。

「話し合ったって、何を?」

勘右衛門が話を進めるべく口火をきる。巻き込まれるとか今更ですがなにか。

「わたし、昨日振られたの」

「人間に?」

「人以外に何があるってんだ鉢屋いい加減にしろ」

「そして俺も昨日振られた」

「豆腐に?」

「俺は豆腐のことを考えるだけで幸せだから豆腐が俺を嫌いでも俺は豆腐が好きだ。想ってるだけでいいんだ」

「おーい兵助戻ってこーい」

「うかつにスイッチ入れるなって、三郎」

「すまん」

茶々を入れる一名のせいで中々話が進まないが、とりあえず、二人の言ったことを思い出す。
振られたのはまだいいとしよう。それならまだあるあるだ。両者、性格趣味嗜好がアレなので。ただし、それが同時期だったというのはひっかかる所だ。

「何で振られたんだ?」

さっき散々言ったものの、兵助と名前の付き合っている相手を三郎は知っていた。
それぞれあまり面識は無いものの、珍しく兵助の嗜好(豆腐)に寛容で、珍しく名前のじゃじゃ馬っぷりに付き合える相手だったはずだ。
決して、仲が悪くなるようには見えなかった。

「「それが、」」

「ねえ?」

「なあ?」

振られた者同士である二人は、困ったように顔を見合わせた。

「兵助くんと仲が良すぎて不安だって言われた」

「私より名前さんの方がいいんでしょって言われた」





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