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「よし暗くなった皆帰れー」

「話が終わった途端それ!?しかもまだそんな暗くねーし!」

本当にうぜえな八野郎は。雉も鳴かなきゃ撃たれないんだけど。

「と・に・か・く!今日はここで終いだ。姉ちゃんは記憶が無い。以上」

俺は半ば強引に話を終わらせた。いや、こうでもしないとこいつら動いてくれなさそうだし。

「このシスコンめ」

「黙れ豆腐野郎」

罵倒したら兵助は嬉しそうだった。キモいこいつ。豆腐ならいいのかよ。

ぶーぶー言う野郎共を強制的にぐいぐい玄関まで押しながら、未だにしょぼんしている三郎にだけ聞こえるように口を開く。

「姉ちゃんに手を出すな、よ?」

にこりと、真剣味を込めて言ってやったら、三郎はぷるぷると震え始めた。はっ。ざまーみろ。
まあ三郎が手を出すことなんて、あと百年もなきゃ駄目だろうけど。
バタンと扉を閉めて、ぎゃーぎゃー煩い声が扉越しに聞こえるようになる。

「…ふぅ」

「なになに、賢者タイム?」

とてとてと歩いてきた姉ちゃん。とその手に握られたネギ。こっちの気も知らないで呑気なこった。

「違うし。姉ちゃんもう立ち直ったのか?」

「え?なんのことかわからないな。何かあったかしら」

ホホホと笑う姉ちゃんは凄いわざとらしかった。

「で、どーよこれ。もー完璧衣装ミクちゃんでしょー。裁縫が得意な友人を持ってよかった」

得意ってレベルじゃねーぞそれ。いつも思うけどこういう服作れる人って凄いよな。どうやって作ってるのか皆目検討つかん。

「いーんじゃない」

「よっし、葵のお墨付き」

にかっと笑って俺の頭を撫でた後、姉ちゃんは台所に(恐らくネギを返しに)行った。
…はぁ。
幸せそうで、なにより。




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