その昔、ある所に大変優れた子供が生まれました。

その子はとても優れすぎていたので、自分というものがどれだけ異端で、ありえない存在かを悟っていました。

己の異端を隠さなければ、親に拒否されると知っていました。

己の異質を隠さなければ、村から忌避されると知っていました。

己の異能を隠さなければ、世界から虐殺されると知っていました。

なのでその子は、まるで本物の幼子のように普通に泣き、普通に笑い。、普通に怒りました。

普通に普通な生活を送ることはその子にとって簡単なことではありましたが、その子の異様さは何処かへいったわけではありません。
変な子だったのです。
まさに"ありえない"子なのでした。

周りとは種族すら異なるような思考をもっていたのに、まるで"普通"を演じられていたのですから。

演技というような行為を常にしていても、まったく苦痛になっていないのでした。

ただ、生まれた時からずっと一緒だった幼なじみ以外には、とっても普通な子でした。

幼なじみとは生まれてからのつきあいなので、装いは必要ないのです。

同じ時刻時間に計るようにでてきたので意思疎通はばっちりだったのです。

幼なじみはその子の言いたいことがわかりました。理解できました。


ですが幼なじみは異質な子ではありません。

普通の普通な人間なのです。





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