02

どうも、日向はじめです。
一応、そういうことになりました。

わけがわからない。

そう思う気持ちだけはこの島に一緒に来た誰よりも強いと自慢できるだろう。全くもって嬉しくない。
思い出した、というより、帰ってきたというか、なだれ込んできたというか。

私の記憶には、もう一人、日向はじめの記憶があった。
日向はじめの人生が、ぼんやりと。

それによれば、日向はじめは希望ヶ峰学園に憧れてを抱いていて、ついに念願叶って入学できたらしい。
しかし、そこから不自然に記憶が途切れ、気付いたら変な扉を開けて教室に入り、クラスメイトと話していたら歌って踊れるウサギのぬいぐるみがあらわれ、これまた気付いたら南国っぽいとこにいた。

わけわからん。

それまでが日向はじめの記憶であって、私はそんな体に入ってしまっているわけである。なぜか。

謎が多すぎます、先生。



とりあえず、ポジティブにこう考えることにした。

これは夢か、そうでないならゲームかなんかだと思えば良いと。
非現実すぎるので、思いっきり現実逃避をした私だった。
あはは、そうじゃなきゃやってらんねーよ、こんな状況。

目覚めてすぐに私が聞いた声の人――狛枝凪斗と、私は混乱しながらも自己紹介をし、なんやかんやで一緒に島を見て回ることになった。

こんなわけわからんことが起こる中幸いなことに、混乱してるのは私だけではなかった。
あの教室にいた一同も、自分がどうやって教室まで来たのか全く覚えていなくて、それに加え南国の島にいたというね。
そりゃあパニックになるってもんよ。

あとは、全員顔を合わせるのは初めてだったこと。

私のこと、いや、日向はじめを知っている人物が居なくて本当によかった。

日向はじめに私が完璧に成り代わるということなんてできやしないので、その点は助かった。

あと、詳しく測ってないが体型とかほぼ私と同じみたいだ。平均より背が高い感じの女子である。


しかし、問題は山積みである。

日向はじめの記憶から察するに、彼女が希望ヶ峰学園に入るような才能を持っていたとは思えない。が、入れたということは才能があったというわけで、それが何かわからない。

どうしようもないことに私は才能ナッシングな凡人なわけで、日向はじめに才能があったとしても私はそれを扱えないだろう。
肉体的に可能だとしても、司令塔である私がポンコツなら意味がない。
日向はじめの記憶にも才能についてはさっぱりだし、これは諦めるしかない。

日向はじめと私は別人である。

これはどう頑張っても変えられない事実であり、変わるようなことがあればそれはもう日向はじめでもない、私でもない、別のなにかになってしまう。

私がどうやって、どうしてこの体に入り込んだのかは分からない。

私の方の記憶も完璧でなく、"こう"なる前に何をしていたのか思い出せない。

私がどう生きてきたかは思い出せる。近所のよく車洗ってるおにーさんとか、おいしいコロッケの店とかは、思い出せる。

しかし、直前だけは覚えていないのだ。
一時的な記憶喪失というやつだろうか。



前途多難すぎて嫌になるわー。







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