深読みの先制攻撃!
先導していたホノがぴたりと止まる。
これまでよどみなく歩いていたホノが止まるなんて、どうしたのだろうと、彼を伺い見る。
「どうしたの?」
ホノは大きいので、私は見上げる形になる。これを長時間続けていると、首が痛くなる。
まだもう少し背が伸びるはずなのだが。成長期は終わってないはず。多分。
「人が、くる」
喉が直っても、相変わらず単語でボソボソと喋るのは、きっと性分なんだろうなと思いつつ、人が来るだけでどうしてそこまでピリッとした雰囲気を放っているのだろうと疑問に思う。
確かにここは一本道で隠れる場所も何も無いが、単に引き返せばいいのではないか。
そこまでして人を避けるのもどうかと思うけれど、面倒を避けるためには致し方ない。
「ホノ?」
「………」
くいっと服の裾を掴んで催促しても、微動にしない。
これは既に、戦闘体勢とやらにはいってしまっているのだろうか。
仮にも海軍本部なのだから、戦わなければいけない敵は居ないだろう。居たら職務怠慢ものだ。
どうしようか躊躇っていると、コツコツという足音が、私の耳に聞こえてきた。
ホノが人の少ない所を選んで通っていってくれてるので、やけに静かな廊下に足音はよく響く。
今更ながら、引き返せば良かったのにと思うが、しょうがない。大体においてホノの判断は正しく、それでなくともホノの言うことは聞いてあげたいのだから。
――そうして見えたピンクのモコフワに、私は目を輝かせた。
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