俺という人間の人生1


(???side)



死ぬ時は、一瞬だった。

不意を付かれ、相手の腕が深々と自分の胸が貫かれていた。
熱いのと寒いのがいっぺんにくる感じ。痛覚が麻痺し振動だけが身体中に伝わったのを、嫌に鮮明に覚えている。



生まれも育ちも、そう良いわけではなかった。

悪いことは平気でやったし、汚いことに手を染めるなんてざらだった。
生きるためにやってきたのはそうした手段で、必然的に俺は強くなっていった。

気付いたら一人きりで、子供だった俺はそうやってがむしゃらに生きることしかできなかった、といえば同情でも誘えるだろうか。

恐らく、生まれ持ったこの血みたいに赤い瞳が忌まれる原因だったのだろう。俺は血液に興奮する質でなかったし、むしろ血は汚いので嫌いだった。よって自分の目も嫌いだった。

そんな俺の瞳を、炎の色みたいだと褒めてくれた女もいたが。結局すぐに病気で逝ってしまった。

花のような女だった。

芸術的な感性に欠けている俺が例えるのもなんだったが、そう表すことがぴったりな女だった。美しく咲いて、すぐに枯れる。散り様さえ、鮮やかだった。

きれいね。そう言って眠るように息を引き取った女こそ、綺麗と言われるべきだろうに。
俺みたいな人間でも、そう思えるくらいなのだから。

死というのは唐突に訪れるものだ。

彼女も、俺も。


幻影旅団が関わっているというだけで、自粛しておくべきだったのだ、俺は。

そして素直に、逃げるべきだった。

そのための念だったのに、どうして躊躇したのやら。



瞼を開けたら、知らない世界で赤ん坊になっていた。

俺が産まれたのはどうやらいくつかの家族がまとまって暮らしている少数民族で、少子化が進み子が少ない所だった。
そこでやっとのこと産まれた俺を一族は喜んだが、すぐに腫れ物を扱うようになった。

原因は俺の目だった。
なんてことはない、前世の血のような色をした目が、今回も受け継がれていただけのこと。

全くもって、忌々しい瞳である。

黒髪黒瞳で構成された一族に赤瞳の俺はどう見ても異端で、そりゃ差別の対象になるもんだと逆に感心したもんだ。

しかしどんなに不気味でも、数少ない"子供"だ。大切にしないわけにはいかない。結構切羽詰まってたわけだ。
だから、腫れ物扱い。針のむしろに触るような接し方だった。
正直人と接するのは得意じゃないので、ありがたかったが。

そうしてそこそこ平和に暮らしていた時に、奴等はやってきた。

変な能力を使う奴等。

最初はこの世界にも念はあるのかと思ったが、大人の『悪魔の実の能力者か! 』と言っていたので、どうやら俺の知らない力がここにはあるみたいだった。

一応抵抗はしたものの、やはり子供の力でどうにかなるでもなく。

俺は捕まった。











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