息子育成♂


「でたー!!」

おっしゃ!あと一個!一個だよここまでくるのにどんだけママクエしたことか!

「何というゲームだ?それは」

私の部屋に断りもなく入ってきた王様がTV画面を見てそう聞いた。いつものことだけど、この王様は私の部屋を自室かなんかと勘違いしてるんじゃないだろうか。王様だからってプライバシー侵害していいわけないんだぞ。

「せがれいじりですよ。せがれを大きくして意中の女の子と付き合うのが目的のゲームです」

「くだらんな」

本当に下らなさそうな様子で一蹴する王様だった。
またまた、こうやってハマっていくのを何度も見てる私には通用しませんよ王様。ツンうまいです。

「その下らなさがイイんです。いわゆるクソゲーですけどね、こういうのに没頭して限りある人生の時間の無駄遣いをするのがたまらなく楽しいんですよ」

「それはそれは、余裕のあることよ。誰かとは大違いだな」

王様が溢した"誰か"とやらに、王様は大分目をかけているらしい。うっすらと楽しそうなえげつない笑みを浮かべている。
ウワータノシソウダナー。是非関わり合いになりたくない。

「確かに、綺礼はもっと遊び心とか学んだ方が良いですよねえ」

王様の言う"誰か"とやらには心当たりがあったので、会話を続けるために何気無くそう言った。

「ほう。アレの本質に気付いていたか。貴様は彼奴をどう見る?」

私としてはコミュ力上昇のため適当に言ったのに、王様がちょっと興味をそそられて話題にに食いついてきたのにのにびびった。
本質って…大袈裟だなー。
時臣さんをボロクソに言っていた王様だけど、どうやら綺礼には興味深々らしい。アーッ!フラグが立つのか私も興味深々です。

「どうもこうも、綺礼は何を良い子ぶってるのか、って感じですよ。元々曲がってるくせになんで真っ直ぐ頑張ろうとしてんのか意味わかんないです。色々試行錯誤してるつもりらしいけどあんなん徒労ですよ徒労」

あ、夕方になっちゃった…。
早くもぐりもの欲しいな。なんだろう次。くだんみたいなのは勘弁。

「私からすれば綺礼の生き方なんてつまんない。面白愉快痛快に生きてこそ人生エンジョイしてるってもんです。王様もそう思うでしょ?」

そこで私は始めてテレビから顔を上げ、王様を見てにっこりと笑った。

太古世界をその手中におさめた王様は、快楽に寛容で、楽しいのが大好きだ。
手に入らないものが殆ど無いといっても過言でないから、楽しいことを探してとことん遊び尽くす余裕がたっぷりあるのだろう。そこら辺、綺礼にはそこそこに見倣ってほしい。

「…真に、貴様は面白い雑種よの。その矮小な身で貪欲に愉悦を味わい尽くす姿勢、嫌いではないぞ」

獰猛な瞳で笑う王様。わあい褒められた。
この人は本当、どんな事をしていても決して下品にはならないから不思議だ。わっるいこと企んでるなーと思うような表情をしていても、決してそれが醜悪だとは思わない。これがイケメンオーラというやつか。

「どーも。まあ王様も精々、自覚した綺礼に呑み込まれないようにしてくださいね」

あれは中々、厄介でしょうから。

そんな挑発みたいな言葉を投げ掛けても、王様は瞳を細めて背筋がひやりとする笑顔を深めるだけだった。煽り耐性ゼロはどうした。
まあこの人、基本懐深いし気に入ったものには寛容なんだよな。それ以外への慈悲とかゼロだけど。

「聖杯戦争が噂に聞くようなものなら、綺礼は恐らく自分の内面と向き合うことになるでしょうから。
どうやらどっかの王様も助長しているようですし?
私はただそれを見守るだけに越したことはないですね」

私は聖杯戦争とは全く関係ないし。大人しく王様にゲームの楽しさを教える役割に没頭するのみですよ。

ちょっかいをかける気ないし、手伝う気もない。好きなようにニートライフを充実させて頂きますよっと。











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テーマ「人外ファンタジー」
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