三人

見つめ合うと素直にお喋りできない!ってことはなくむしろテンション上がってベラベラ喋り出す派の人、挙手。


「富松はいつも迷子に世話焼いてるんだから、たまには休んでいいと思うの」

そして私に構え。これが本音ですが何か?

「だってついほっとけなくて…。もし迷子になって、あんなことやそんなことになってたらと思うとっ…」

うぁぁと頭を抱え始める富松。
やー相も変わらず妄想まっしぐらねえ。悪い方向に考えすぎというか何か。
もっとポジティブに生きようぜ!七松先輩の前向きさ(無理矢理さともいう)を少し分けてもらうといいよ。

「でもそんな富松が大好きだコノヤロー」

「は、え!?」

トマトみたいになった。可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い。

「そういやあ、富松今日走ってたよな。頑張ったねえよしよし」

さらっと話題転換して、富松の頭を撫で撫で子すれば、前の言葉が気になるという顔をしつつも流されてしまう君が大好きだよお姉さんは。

「あ、はいありがとうございます…。ってウタ先輩!ああいう時に大声で俺の名前呼んだりしないでくださいよ!」

ぷんぷん、と怒っても可愛いだけということを君は知らないな。ふ、怒っても逆効果なんだな。

「えー。なんでー?」

「な、なんでって、その…。は、はははは」

「はははは?」

「恥ずかしいからですよっ!!」

あのあとクラスの奴等ににやにやされて、すっげえ恥ずかしかったんですから!!と声を大にして言われてしまった。思春期よのう。

「…じゃー次からは左門応援するー」

「えっ」

富松には及ばないけれども可愛い我が委員会の後輩を応援する。
そして富松へ心の中で全力でエールを送る。世界の中心で愛を叫びまくる。中心じゃなくても叫ぶ。
まあいつも叫んでるけど。
だぁって好きなものは好きなんだもの。どうしようもないんだもの。どうしたらいいってんだよ全くよう。富松マジ天使。マイエンジェル富松。

「あの、」

突然服の袖を握られた。い、一体何が始まるんです…?

「べ、別に」

恥じらうように顔を背けてから、ぐっと覚悟したように顔を上げて、

「せ、先輩の、お、応援が嫌いってわけじゃあねぇです」

そう言った後、では失礼します!と富松はそそくさ駆けていった。





「何だアレ…。私を再起不能に陥れる気か富松は」





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