「なーフィディオー。お菓子貰ってないってことにして悪戯してもいい?」

「やだよ!マルコの悪戯半端ないからお菓子渡したのにそれはないよ」


確かに、こいつが"悪戯"をするとしたら半端なレベルでは済まないのはイタリアのチームメンバーなら承知済みのことだ。(遠い目)


「えーだってあれはフィディオの運が悪いんじゃん」

「だからってマモルに『やらないか?』って言いに行くのはキツい!」



………これは今よりほんの少しだけ前のことである。

マルコが、"王様ゲームしよう!"と唐突に言い出した。

なんだそのゲーム、と思いつつも楽しそうだったから皆で参加してみたのだ。

ゲームはおおいに盛り上がり、そして終盤のラスト。

マルコが王様になり、にっこー!と無邪気に笑ったのを見て、俺は"あ、これヤバい"と思った。

そして王様に見事に指名されたのがフィディオ。

フィディオ(と何故か俺)はマルコに"やらないか"と連呼するホモくさい動画を見せられ、"おーさまの言うことは絶対だからな!"と変わらず無邪気に笑う王様に命令されてしまったのだった。完。

因みにその動画かは日本でかなり有名なものらしい。…本当、なんで俺あの動画見せられたんだ。


「マモルにそのまま綺麗にスルーされた時は、気を使ってくれたかと思って思わず泣きそうになったよ…」


フィディオはちょっぴり涙目だった。


「まさか素でスルーしてたとはなー。びっくりしたな」


俺はお前にびっくりだよ。


「というか、マルコは王様ゲームとかやらないかとか何処でそういうの学んで来るんだ…」


俺達が知らないような外国のことなんてどうやって仕入れてくるんだよ。



「ニホンのトラマルに教えて貰った」



「あんの小悪魔ぁー!!」

「トラマル・ウツノミヤ…!」


あまり接触は無かったが、無邪気に笑う姿がマルコと被って"あぁ、こいつもイイ性格してるんだろうな"って思った覚えがある。

ただし、あちらは黒いものがチラチラしているようだが。マルコは別に黒くはないのだ。黒くは。


「じゃあ次行くぞー」

「…は?もう回りきっただろ?」

これ以上誰に貰いに行くんだ。流石に近所の人に迷惑をかけるのは止めて欲しいんだが。

「あと1人居るじゃん」

「…誰かわかる?」

「さぁ…」




「監督」




「「………………え?」」




「フィディオも来るよな!行くぞー!!」

その笑顔は決して黒くはなかったのに逆らえなかったのは何故だろう。



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