「うわもういやだほんとう、キャプテンとかもういやだなんで私が、私が、いやだ…うううぅぅぅ………。」


布団虫いっぴき。

正確に光景を描写すると、凉野風介(ガゼルともいう)が、布団に丸まって何事かぶつぶつと呟いているのだった。

今この光景を雷門中の連中が見たら、さぞかし…なんだ、その、…アレだろう。


「おい、風介、じゃなかったガゼル。そろそろ起きろー。」


布団虫に近付くチューリップさん。別名バーンともいったりいわなかったり。

布団をつんつんとつついている姿は、かなりシュールである。


「やだやだもう駄目だ終わった。終わりだ。天地の破滅だ槍と混声四分合唱で盥が降ってきて世界が終われば良いのに。」


盥で地球が滅んだら銀河系は終わりなのか?

というところには一切合切触れもせず、頭の方は微妙によろしくない南雲くんはただ、(タライなんて漢字知ってるなんてほんっと物知りだなコイツ。)とか文章じゃないとわからないところに関心するのだった。


「いいから起きろっつの。ガーゼルー。」


バーンくんはこの台詞と共につんつんをぺしぺしに切り替えていたりした。


「………五月蝿い。阿呆。馬鹿。うましか。知ってるかうるさいって漢字で五月の蝿って書くんだだから黙れチューリップ沿いの蝿。」


色々意味が散らかっているけど、取り敢えずバーンは五月蝿いという漢字を頭に入れ、(多分明日にはどこぞへ無くなっているだろう)ガゼルを手っ取り早く布団虫脱却させる言葉を吐く。


「早くしないと、会議に遅れるぜ。」


そう言った瞬間、今までぶつぶつと呪いの言葉を呟いていた布団虫が静かになり、布団の中からもぞもぞと本体(ガゼルくん)が出てきた。


「いくぞ。」


先程の態度は何のその、ガゼルはぴしっと姿勢よく、(顔はこの上なく仏頂面で)颯爽と歩いていった。


こういう所はすげぇなあ、と関心するバーンはガゼルの後を追っていった。





「逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ」

………超、必死。

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