51
『わたパチと、クッピーラムネと、すこんぶと、むぎチョコと、ねるねるねるねと、』
「そろそろストップして貰っていいかなしーくん」
腕が、腕が、ちょっともうだめぽ。
まさかお菓子だけでカゴが一杯になるなんて。
なんなの、私達これからお菓子パーティでもするの?TRPGでもするの?いやしてみたいけどさ。
店員さんもまさかこれが一人用のお菓子だとは思うまい。
「僕、持ちますがー?」
「おおう」
いつの間にか擬人化していた。
ちょうだい、と差し出される手に大人しくカゴを渡す。
途端、訪れる解放感。正直キツかった。
『こら、もう入れちゃ駄目だって』
「ぶー」
重い荷物から解放された解放感に浸っているうちに、しーくんが新たにお菓子を追加しようとしていたらしい。油断も隙もない。
しーくんは(無表情で)ぶーたれながらも、お会計しにカゴを持っていった。
「私、しーくんが糖尿病にならないか心配だわ」
『俺も』
一城と目配せし合って、それだけは阻止せねば、と誓う私達。
今ここに、しーくんの糖尿病予防隊が結成された。
「幸せですー」
会計を済ませ、お菓子が詰まったポリ袋を抱えてほくほくしているしーくんが帰ってきた。
「よしギャンブルしようか!」
意気揚々と宣言する私。もう、やる気満々だった。
やっぱり、という顔をする一城と、無表情なしーくん。
『言うと思った』
「早く帰ってお菓子食べたいですがー?」
「ギャンブルしようか!」
感想も願望もぶったぎる私だった。
いやだって、パチスロ店なんて入ったことないし。興味あるし。多分明日になったら急に行くの面倒臭くなりそうだし。
思い立ったが吉日というやつ。
だから今日行こう。今行こう。
『じゃあちょっとだけだからな?』
「お菓子食べながらでいいのならー」
許可ゲット。無理矢理な気もするが気にしない。
そういうわけで、私達はデパートからゲーセンに移動することにした。
「そういや、今は各自風呂入ってるけどさ、ショップとかにブラシ売ってるじゃん?長い毛用とか岩タイプ用とか色々」
『あるねえ』
「もふもふ」
しーくんは口にお菓子詰めていたので頷くだけだった。ほっぺつつきたい。
「一城達的にはあれでブラッシングした方がいい?」
というか私がやってみたいだけだが。
もふもふ堪能したい。
『野生では自分で毛繕いしてたから、ブラッシングなんて体験したことないなー』
「僕も行水ですましてましたー」
アグレッシブ。さすが野生。
「じゃあ、お金貯まってきたらブラシ買っていい?あ、勿論私のお金で買うよ」
一城専用ブラシとか、しーくん専用ブラシとか、なんかいいよね!
ポケモントレーナーって感じがする。いや、トレーナーだけどさ、実際。
『ブラッシング…ふふふ』
「よくわかりませんが、きもちいいものなのですかー?」
一城の反応を見てしーくんがしーくんなりに察したようだった。
そんな成長はして欲しくなかった…。
「イエローカード1枚です一城にいさん。3枚溜まったら教育的指導」
『うい』
「しーくん、ブラッシングとはさらさらでふかふかになるものだよ」
『毛並みつやつやリフレッシュだよしーくん』
「へー。ブラシはいいものなのですかー」
ふ、どうやらうまく誤魔化せたようだ。
皆納得(?)したようだし、これは買ってもいい流れ。
「じゃあブラシ買うね」
『ブラッシングしてな』
「僕も、僕もー」
「合点承知の助」
[←][→]
top
[ 51/52 ]