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『わたパチと、クッピーラムネと、すこんぶと、むぎチョコと、ねるねるねるねと、』

「そろそろストップして貰っていいかなしーくん」

腕が、腕が、ちょっともうだめぽ。
まさかお菓子だけでカゴが一杯になるなんて。
なんなの、私達これからお菓子パーティでもするの?TRPGでもするの?いやしてみたいけどさ。
店員さんもまさかこれが一人用のお菓子だとは思うまい。

「僕、持ちますがー?」

「おおう」

いつの間にか擬人化していた。
ちょうだい、と差し出される手に大人しくカゴを渡す。
途端、訪れる解放感。正直キツかった。

『こら、もう入れちゃ駄目だって』

「ぶー」

重い荷物から解放された解放感に浸っているうちに、しーくんが新たにお菓子を追加しようとしていたらしい。油断も隙もない。
しーくんは(無表情で)ぶーたれながらも、お会計しにカゴを持っていった。

「私、しーくんが糖尿病にならないか心配だわ」

『俺も』

一城と目配せし合って、それだけは阻止せねば、と誓う私達。
今ここに、しーくんの糖尿病予防隊が結成された。

「幸せですー」

会計を済ませ、お菓子が詰まったポリ袋を抱えてほくほくしているしーくんが帰ってきた。



「よしギャンブルしようか!」

意気揚々と宣言する私。もう、やる気満々だった。
やっぱり、という顔をする一城と、無表情なしーくん。

『言うと思った』

「早く帰ってお菓子食べたいですがー?」

「ギャンブルしようか!」

感想も願望もぶったぎる私だった。

いやだって、パチスロ店なんて入ったことないし。興味あるし。多分明日になったら急に行くの面倒臭くなりそうだし。
思い立ったが吉日というやつ。
だから今日行こう。今行こう。

『じゃあちょっとだけだからな?』

「お菓子食べながらでいいのならー」

許可ゲット。無理矢理な気もするが気にしない。
そういうわけで、私達はデパートからゲーセンに移動することにした。





「そういや、今は各自風呂入ってるけどさ、ショップとかにブラシ売ってるじゃん?長い毛用とか岩タイプ用とか色々」

『あるねえ』

「もふもふ」

しーくんは口にお菓子詰めていたので頷くだけだった。ほっぺつつきたい。

「一城達的にはあれでブラッシングした方がいい?」

というか私がやってみたいだけだが。
もふもふ堪能したい。

『野生では自分で毛繕いしてたから、ブラッシングなんて体験したことないなー』

「僕も行水ですましてましたー」

アグレッシブ。さすが野生。

「じゃあ、お金貯まってきたらブラシ買っていい?あ、勿論私のお金で買うよ」

一城専用ブラシとか、しーくん専用ブラシとか、なんかいいよね!
ポケモントレーナーって感じがする。いや、トレーナーだけどさ、実際。

『ブラッシング…ふふふ』

「よくわかりませんが、きもちいいものなのですかー?」

一城の反応を見てしーくんがしーくんなりに察したようだった。
そんな成長はして欲しくなかった…。

「イエローカード1枚です一城にいさん。3枚溜まったら教育的指導」

『うい』

「しーくん、ブラッシングとはさらさらでふかふかになるものだよ」

『毛並みつやつやリフレッシュだよしーくん』

「へー。ブラシはいいものなのですかー」

ふ、どうやらうまく誤魔化せたようだ。
皆納得(?)したようだし、これは買ってもいい流れ。

「じゃあブラシ買うね」

『ブラッシングしてな』

「僕も、僕もー」

「合点承知の助」







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