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「あれ、ここ何シティだっけ?」

『目覚めてないぞケイ。瞼にキンカン塗ってみる?で、何シティだっけ?』

『キンカンて、柑橘類ですかー?食べられますー?』

「瞼にキンカンは死ぬって!ガチで!あとしーくんに振ったの間違いだね!ごめんね!」

『キンカンは柑橘類とは似ても似つかないものだよ。あと食べれないよ』

『なーんだー』

「というわけで正解はトバリシティでしたー。はい終了」

グダグダになる恐れがあったので、強制終了。
まあ普段からグダグダな会話しか繰り広げてないわけですが、それはそれ。これはこれ。

眠気がすっかりとはいえないけれど大分スッキリしたので、探索を開始することに決定されました。私が。

「結構色々あるみたいだね」

「そうだね、デパートとかパチスロ店とか」

『でぱあとー?ぱちすろー?』

「この子マジ箱入りなの?箱入り息子さんなの?」

「いや、ただ単に興味なかっただけかもしれないぞ」

「なるほど」

しーくんの物の知らなさには時々とても驚かされる。真面目に箱入りっ子だったのかもしれない。

「で、どうする?買い出し物とかあったっけ?」

『いや、前に買ったので十分だろう。あんまり荷物が重くなりすぎるのもよくないし』

『僕のおかしストックは不十分なんですけどねー』

「しーくんの露骨な催促キタ!」

この子はまったく…要領がいいやらなんやら。

『あはは。まあ見学がてらデパートに行ってみてもいいんじゃないかな。ひやかしが駄目なわけじゃないんだしね』

『ひやかしひやかしー』

「しーくんは売り上げに貢献しそうだな…」

デパートなんかはお店をひやかしてるだけでもわりと楽しいし、それでいいか。

「そういや、パチスロ店って入るのに年齢制限ってあるの?」

通りがかった際にチラリと見えたそれに、ふと疑問が芽生える。
ゲーム中では主人公は思いっきり入り浸って、かつガッポリ儲けていたが。(私の主人公の場合)
よくよく考えてみれば、元の世界ではパチンコ店は普通に小さい子は入れなかったような。興味なかったからよくわからないけども。

『ん?いや別に、R18とかではないけれど。えろくないし』

『えろ?』

「止めろ下さい一城さん」

自重して下さい一城さん。私まだしーくんにはピュアでいてもらいたい。

「そっか。じゃあ私でも入れる、と」

まあそうだろう。じゃなかったら主人公はなんなんだという話になるし。いや、主人公だからとかゲームの都合上とか言ったらどうしようもないけどさ。

『行ってみる?』

「いやべつに」

『へーえ』

なんだ一城。目線が痛いぞ。私なにも悪いこと考えてないよ。ええ、そうですとも。

「そういや二人とも、年はいくつなの?」

白々しいほどの話題展開だとは自分でも思ってますが、なにか。

『………じゅーよん、くらい?』

小首を傾げながらしーくん。自信なさすぎだろおい。

『19あたり、かな?』

腕を組みながら一城。お前も自信ないのかよ。

「…なんでそんな曖昧な感じに」

『人間の年齢に換算するの難しくてなー。擬人化したらこんくらいに見えるかな?という大体の憶測しかできなくて』

『何年生きてきたことやらさっぱりですなー』

「…なるほど」

つまり、ポケモンは必ずしも人間と同じ年を生きるわけではないと。個体差があったりするのかな、やっぱ。

『ちなみにケイは?』

「17歳。バイクも乗れる年齢でっす」

持ってたりしますしね、免許。
果たしてここで使う時がくるのかどうかはわからないけど。

『じゃあまだお酒は飲めないかー』

「いや、一城も飲めないでしょ」

自称年齢によれば。

『僕ら、進化すれば見た目かわりますがー?』

「え?」

『進化すると髪の色とか目の色とかも変わる種族もいるし、伸長伸びたりするんだよ』

「まじか」

まじか。いや、まじか。
ああそうか、進化して飛べるようになるポケモンだっているもんな。そりゃ外見変わるわ。ポケモンまじ神秘的。


そう私が新たなポケモンの神秘にうち震えていると、昨日ポケモンセンターに行く際に見たデパートが見えてきた。

…わーお、でかい。







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