41
眉間に皺を寄せて、紙を読むだけの簡単なお仕事を全うする。
「………」
パラリパラリとただ紙が捲られる音だけが部屋に響き渡る。
私が神(自称)に貰った紙束を大人しく読んでいるのは、まあ、一重に情報が欲しいからである。
いくら下心裏満載な代物でも、この地方のデータが余りにも不足している私にとってこの紙束はありがたいものだったりする。くやしいことに。
ばっさりとベッドに店を開き、突然出現した紙束を読み始める私に一城は程々に、と声をかけてしーくんの方を見にいった。毎回思うけど保護者か一城は。
淡々と紙束を読んでいく作業は、ただの数字と記録が書かれただけの遊び心が一切無い簡素なものなので、疲れるっちゃあ疲れる。
しかしポケモン好きの私としてはポケモンがどんなタイプでどんな技を覚えるのか、種族値は特性は、と見るのとわくわくしてくるので問題なかったりする。
「…たくさんありますねー」
はっと気がつくと、しーくんが部屋に入ってきていた。どんだけ集中してたんだ、私。
「見てみる?しーくん」
適当に一枚手に取って、差し出してみる。
「…んんん、んー?」
手渡されたそれを見ながらしーくんは首を傾げる。可愛いぜ。
「…ゴミ、ですかー?」
ちらりと軽く見ただけで、しーくんはそう判断したらしい。あながち間違っちゃあいないのがなんとも。
「まあ、読み終わったらさっさと焼却処分したいかな」
しーくんや一城なら良いものの、他の人にこれを見られたら大分面倒臭いことになるだろう。色んな意味で研究データだしね、これ。
「焼き芋、やりますかー?」
きらりと目を光らすしーくん。
「いいね、やろうか」
「やったー」
本当にしーくんは可愛いなもう。
そうしてあの神(あくまで自称)がくれた紙束は、燃えて美味しいほっかほかなお芋を焼き上げるのに役立った。
いやー美味しかった。
[←][→]
top
[ 41/52 ]