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芽衣ちゃんが戻ってきた。
若干目が赤くて、ああ泣いたのかなと思った。

「大丈夫?」

控え目に聞くと、芽衣ちゃんはこくんと頷いた。
芽衣ちゃんは少し視線をさ迷わせた後、口を開いた。

「…あの、ごめんなさい。いきなり、走りだしたりしちゃって」

「いや別にどってことないよ。むしろ私が何か変なこと言っちゃったみたいでごめん」

「違うよ。ケイちゃんは悪くない。私が過剰に反応しすぎちゃっただけ」

そう言うと、芽衣ちゃんはひたりと私に目線を合わし、見据えてくる。

「もう一回、二人きりで話、いいかな」

『芽衣!?』

「二人っきりが、いいの。
…今から私、酷いこと言う」

見つめてくる目は強くて、場違いにも、ああ、きっとこの子はアニメとか小説でいうなら主人公なんだろうな、と思った。

「うん、どんとこい。どんとかむ」

こいを英語にするとcomeだけどdon'tをつけてdon't comeになるよね。どんと、こい。つまり…?果てしなくどうでもよくてサーセン。
一回目の雑談と同じく、芽衣ちゃんは私の手を引いていく。
なんかちくちくするのでポケモン達の方を見てみた。
リザードくんの目超怖いよ。めっちゃ睨み付けてくるよ怖い。防御何段階下がったんだ私。
ていうか芽衣ちゃんの手持ち怖い。モンジャラくん以外睨み付けてくるぜ。モンジャラくんオロオロしてて可愛い。
視線を独り占め!きゃー嬉しい。…この虚しさなんとかして。後々のフォローお願いしますぜ芽衣ちゃん。
対して私のパーティーはというと。
一城と目を合わせると、にこ、と微笑んでくれた。無駄に麗しいぞ、にいやん。
しーくんはうとうとしていた。しーくん!しいくーん!空気読んでー!今、シリアス!
芽衣ちゃんとはひたすら前を見ていて、一回も目が合わなかった。






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