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「…つかぬことを聞くけどさ、もしかして芽衣ちゃんってトリッパー?」

9割方確定してるけど一応聞いてみた。芽衣ちゃんの着てる制服に見覚えあるし。
お互いの自己紹介を軽くして、二人っきりで話したいという芽衣ちゃんと私の強い希望により二人きりです。
一城としーくんは大丈夫だろうか。まあ一城はそういうとこ巧そうだし、しーくんもやすやすとメンタル傷つけられるキャラじゃないし、大丈夫かな。むしろしーくん変なこと仕出かさないか心配だ。兄貴ガンバ。

「え、えええっ!?ど、どうして!?」

どうしてわかったの?って顔する芽衣ちゃん。この子、こんな簡単にバラしていいのかな。わかりやすすぎるぞ芽衣ちゃん。

「んーいや、私も、トリップしてきた身だからさ、大体わかるよ」

勘ですけどね。七割。

「ケイちゃんもそうなんだ!」

「うん」

まあ、かなめいしがなんたらーとか忘れてた、とかって言ってた時点でほぼ確定してたけど。
だってトリッパー丸出しだもん。この子。

「えっとさ、もしかして、手持ちの子たちには…」

伺うようにこちらを見る芽衣ちゃんに、ピンときた。

「ああ、私がトリッパーってことは言ってないよ。芽衣ちゃんは話したの?」

「…うん。話したよ。怖かったけど、言わなきゃいけないと思ったから」

「そっか」

どうも、良い予感がしないなあ。
もしかしたらというか、うん、私、この子とは合わないと思うわ。漠然とだけど、そう思ったってことが決定的。
いや、嫌いなわけじゃないんだよ。嫌いじゃないけど、合わない。そんな感じがする。

「ちょっと質問なんだけどさ、ポケモンって今どこまで発売してたっけ?」

「え?えっと、今はダイパ…ダイアモンドとパールと、プラチナまで発売してたよ」

プラチナってのは金銀におけるクリスタルみたいなもんかな。
私はエメラルドまでは既プレイである。DSを買って貰えなかった悲しみは一生忘れない。アドバンスの何が悪い!

「じゃあここってダイアモンドパールとプラチナの世界なの?」

「うんそうだよ。シンオウ地方だよここ」

「へぇ、私ここは知らないんだ。もし良ければ教えてくれないかな。ポケモンとか、ストーリーとか」

私の言葉に、芽衣ちゃんはにっこりと晴れやかに笑う。

「もちろんだよ!他にも、たっくさん話そうよ!元の世界のこととかも」

うん、と私はにこりと笑って頷いた。



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