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なぁにこれぇ。
ってな気分ですよケイです。
「石が積まれてる…」
石というには大きいけど岩というには小さい微妙なサイズだから石としよう。が積まれている。賽の河原的な。
…どうしよう、崩したい。
『…えいっ』
あら先にやられちゃ…って駄目駄目!阻止しろ!
「ストッププリーズ!」
がし、と下手人ことしーくんをなんとか捕獲。触り心地いいなこの子。
『止められちゃいましたー』
大してがっかりして無さげのしーくん。しかし私はその無表情で破壊活動をしようとしたことをしっている。
「駄目だよしーくん。多分これ大事な物だぜ。多分」
ストーリー的な意味で。
これ多分関係あるだろー。気づけ!ってばかりに存在主張してるもの。
もしくはなんかの墓。よくやったよねー蟻殺して土に埋めてその上に石置く作業。…ちっちゃい頃とはいえ今考えると残酷なことしてたな。なんまんだぶなんまんだぶ。
蟻さんのご冥福のお祈りしていたら、ドタドタドタと足音が聞こえてきた。気になるくらいの足音って相当だぞ。
「わー!わすれてたー!!みたまのとうー!」
お?なんだか叫んでる人が居るなー。やー公衆の面前だぞ?恥ずかしい恥ずかしい。私なら注目されてるとわかった瞬間川に飛び込むわ。
…あれ、なんかこっち近づいてきてない?…来てるねー。
ちょっくら見てようっと。
『芽衣、そうしてるとバカ丸出しだよ』
お、この声ポケモンか。芽衣って子の肩にいるイーブイかな。可愛いなイーブイ。
「昂うるさい!ちょっとどわすれしただけだもん!」
女の子も可愛いな。金髪に紫の目がマブい。…地味カラー嬉しすぎるぜー。
「あった!これかな?えっーとかなめいしかなめいし」
女の子がバックから取り出した石を蟻の墓みたいなのにはめ込むと、一瞬でバラバラだった石ころ達がシャキーンと塔みたいになった。謎の技術すぐるだろ。
『…ってかさぁ、さっきからそこでジロジロ見てんのうざいんだけど』
私のことですかね。そうだね。だってばっちり目合ってるもの。
「じろじろ見てたつもりはなかったんだよ、ごめんね?」
とりあえず下出に出とけばなんとかなる、という浅ましい思考ですみません。
『!あんた、「昂の声が聞こえるの!?」
わー割り込まれてるよ昴くん。
「え、うん」
流されとけ流されとけ。
「すごぉい!あたし以外で初めて声聞こえる人だ!」
あなたも見えるんですね。いやまあ、想像はついてたけどさ。
「ねぇねぇ!色々お話ししようよ!」
拒否権は無いですよねわかってるぜ。肩のイーブイくんの視線が痛いが知らんべ。
「いいよ」
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