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「おはようございますー」
朝、起床したらしょーねんだった。
間違えた。びしょーねんだった。
ふあふあとした桃色の髪は癖っ毛なのか、くるくるとしていて、触ったらさぞ柔らかそうだ。焦点がどこにあるかわからない青い目はこちらを向いてはいれど、何も写していなくて。
お顔がデンジャラスにとんでもなく整った一見おんなのこにも見える美少年。"美"少年。
が、居た。
………あ、そうか。
ここ、天国か。
「いえいえいえ違いますちげーよはい」
吸ってー吐いてー吐いてー吸ってー。すーはーはーすー。
「………椎?」
だよね?というか心当たりがそれ以外ないというか。違ったら怖いよ。色んな意味で。
「……………そうですよー?」
間がありましたのは何故だ。自分が何者か分からなかったんじゃないんだろうな。
じー。(凝視)
…椎、ちょう美少年じゃないか。
一城もイケてるメンズだけどそれとは種類が違うというか。
「…髪、触っていいっすか」
目舐めていいですかと聞きたくなるのを自重しての発言である。それは言ったらダメよ!という天使のお告げにより止めた。
私の中のなにかが壊れるような気がする。うん、確実に。
「はぁ。別にいいですよー」
あっさり承諾。
目舐めたいって言っても同じ反応をしたと思えるようなあっさりさだった。
「…ふうぉおおう!」
や、柔らかい…なんだコレ、くせっ毛なのに全く絡まない、だと…?
下手なサラストより良い髪質。うむ、ごちです。
「…ありあとでした!」
なんか、もう、満足。
「………あ、そうでしたー。ケイさんーご飯ですよー朝ご飯ー」
話し始めるまでにワンテンポ入るのは何故なのだろうか。癖?可愛いなぁオイ。
動かない表情のままそう言ったかと思えば、私の手を掴んで行こー?と首を傾げるキュートな生物に私のはぁとはドキがムネムネですわもう。
このままさくっと着いて行きたいが、問題アリ。
「椎くん、すまないが、お着替えしたいので暫し待たれよ」
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