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「まったく…もうチャリンコヒーローにはなりたくないんだぜ」
サイクリングロードをくぐり抜けた私達を待っていたのは、新たなる試練だった―――!ってな感じの話期待。嘘だけど。
「えっと、地理的に言えば洞窟抜けたらヨスガシティ、だったっけ」
タウンマップはお金が無いので買えなかったが、見るだけで一応どんな感じかはイメージできたのでよかった。
『洞窟っていうかテンガン山。それを抜けたらヨスガが見えてくる』
ふむふむ。ならさっさと進むべきですね。
「進退疑うべからず、だね」
言葉が間違ってるかもしれない、ということも疑わないのが本物です。
『てってってー
ここで再度質問タイムに入りました。
ケイさんは岩砕けるかな?』
てってってー…つーかてんてんてん、ってな具合。
「チミは私にどんな役割を求めているのかね?あいあむひゅーまん」
「みーとぅ」
な、なんだと、反撃できなくなった。
こやつ、やりおる…!
「うーん…。成せば成る!と私は信じているんだけどどう?」
「ケイの好きにしたら良いよ」
にこり、と笑う一城さん。
…うわあ、無駄に素敵な笑顔。全くこれだからイケメンは。
くそういつも俺ばっかりに決めさせやがって。動揺なんて、してないんだからねっ!みたいな。
「私は君の評価をどうしたらいいかわからないよ…」
「そうか?」
そうです。
***
「おー中々暗いね流石に」
テンガン山の中に入った私と一城兄貴。
これまで生きてきてこうも洞窟洞窟した洞窟は始めて入ったのでちょっくら感動を噛みしめ中。
「一城水鉄砲」
きしゃー!と攻撃して来そうだったズバット(やっと私がわかるポケモンに出会えた!)を一城が撃ち落として事なきを得る。ふーやれやれだぜ。
そうやって一人と一匹のお兄さんで歩いていたのだけど、びっくり嬉し現象が起こっていたので紹介しようと思う。
「岩が、砕けている!」
いわくだきしなくとも行けるとは、どういうことだ。
私いわくだき持ってないから行けないはずだったんだなぁと思うとラッキーすぎる。ありがとうゲーフリ。
『岩の中は からっぽだ』
「知ってるよ!でも何か期待したっていーじゃない!」
ごみ箱だって、そうじゃん。壺に何も無いとしても、思わず割ってしまうだろう皆の衆。
無いと半分諦めてても、もう半分は諦めきれないのさ。
あと別にイシツブテとか出てこなくていいです。
「何にせよ、とんだラッキーだ。好機好機いぇーい」
『いぇーい』
はーいたっち。いぇいっ!
…なんだか、一城と息が合いすぎて最近会ったことを忘れそうだ。
いや、良いことだけどね。
「お、光だ。出口かね?」
『っぽいな』
結構あっさりと洞窟くぐり抜けれたなぁ。
さ、ヨスガシティ行こ行こ。
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