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交渉成立。
見事、勝ち盗ったぜ無罪。じゃなくて自転車。いやーできるもんなんだな。
レンタルで三千円。この数字が高いのか安いのかわかんないけど。
でも自転車一台(100万)買うよりは格段に安いからいいとしてみようか。

「とりあえず、二度とサイクリングロードには行かないと誓った私であった」

「じゃあなんで今はスルーしないのかな?」

「ノリです」

だって一回くらいは走ってみたいし。
雰囲気だけでも味わっておきたいと思うのは仕方ないこと。

「では出発したいのですがいいですか?」

「いーともー」

ノリの宜しいことで。ちょっと感激。
ちなみに一応買い物もさっさとしてきたんだぜ。服とか最低限欲しいものをちょろっとだけ。お金が欲しい。切実に。



***



「一城、おいうち」

相手が入れ替えようとしたポニータを倒し、続いて出てきた水色の可愛いポケモンを見据える。(一城によればコリンクという名前らしい)

「とりあえず先制。電光石火」

ひゅん、と素早い動きで先制をとり攻撃を喰らわす。まあ、一城なら先制業じゃなくとも抜けるだろうけど。

「スピードスター」

きらきらっとお星様が舞う。…お願いごと言う時間なんてないよなぁ、いつも思うけど。

「コリンク避けて!スパーク!!」

スピードスターを避け、電気をまとうコリンク。

「高速移動で避けてソニックブーム」

はぇええ!あいつ、なにモンだ!?みたいなね。
ソニックブームが当たったコリンクくんは、少しフラつきながらも立ち上がる。立派な武人魂である。

「アクアジェット」

「避けてコリンク!」

避けられた。まあ、今一つだから当てる気も無かったんだけども。
アクアジェットを避けたコリンクの背後にはスピードスター。ほら、スピードスターって必ず当たるからさ。
それが直撃したコリンクくんはダウン。
ワン、トゥー、スリー、(略)…テン!
勝利、かな。電撃喰らわなくて良かった。

「あなた強いのね!はい、これお金よ」

チャリンコガールからマネーをゲット。

「兄貴、お疲れッス!はい、これタオルとジュースッス」

功労者の一城くんにはエアタオルとモノホンのサイコソーダをプレゼント。

『ありがとなー』



***




「いやはや、やっとサイクリングロードも終わりだね」

『終わりじゃない…これは、始まりに過ぎないんだ』

「なんかかっけーな!でも厨二臭いぜ一城」

『…セクハラしていいですか?』

「何故に!これまでの会話の流れの何処に伏線があった!?」

『いや、なんか、むしゃくしゃしたから。具体的には尾骨』

「フェチきもっ!胸とか臀部とか目玉とか鎖骨とかうなじじゃなくて尾骨!」

『今挙げた中に特殊な性癖があったことは黙っておこうと決意した俺』

「思考が大気を震わせているぞキサマ!」

『…てへ☆』

「畜生、かわいい!」

………そうしてケイと一城は無事サイクリングロードを通り抜けましたとさ。よかったね。





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