Log3
「・・・っ・・ぅ・・・・」 安形の耳元で、押し殺した喘ぎ声が響く。安形の制服のネクタイを噛み締めている椿の唇から洩れる湿った息を感じながら、安形はまた腰を突き上げた。 「・・んっ・・・っ!」 びくんと身体を仰け反らせ、声らしき物を椿は発する。安形が椿の身体を部屋の隅に押し付けて身体を動かせば、断続的にそれが漏れ始めた。 「・・・んぅ・・ぅ・・・んんっ・・・・」 「あんま声上げてっと、外に漏れるぞ」 耳元で囁かれた言葉に、椿は目を見開いてびくりと身体を震わせる。その瞳からは涙が滲み、安形の制服の肩辺りを握り締める手は震えていた。そんな椿の姿を愉悦の笑みで眺め、わざとゆっくりと腰を動かしながら安形は再び椿に囁く。 「鍵が掛かる場所じゃねぇし、ドアには窓もある。声聞かれて覗かれたら、終わりだ」 「・・・ぅ・・・・・」 安形の言葉にまた声を抑え、椿は固く目を閉じた。その所為でぱたぱたと流れる涙を舌先で拭い取り、安形は低く嗤う。こんな所――街中のカラオケ店の部屋の隅で犯されながら、それでも椿は行為を拒否しない。否、出来ない。 ここに安形に連れ込まれ、数曲適当な曲を連続で入れた後、監視カメラの死角になる部屋の角に椿は身体を叩き付けられた。拒否を示す間も無く、そもそもそれを許されるはずも無く、安形の手が椿のベルトへと伸びる。それからは椿の下肢から衣服が取り去られるのも、シャツのボタンを外され、その下の素肌を安形の指が滑るのも、椿はただひたすらに受け止めていた。唯一の抵抗らしき物も、声を抑える為に途中から銜えられた安形のネクタイ程度。身体を強張らせ、人に見られる事を怯える様は、逆に安形を煽った。 怯えて強張る脚を持ち直し、安形は改めて身体を動かし始める。激しく繰り返される挿入に、椿は震えながらも身体を仰け反らせ、下肢は快楽を主張していた。 「んんっ、ぅ、ぅんっ!」 「ほら・・・また声が出てっぞ」 安形の言葉に新たに涙を滲ませながらも、内側を激しく動く安形自身に椿の唇からは声が漏れ続ける。流れる音楽に掻き消されそうになるそれを耳の奥で捕まえながら、安形は更に椿の脚を開いて動きを速めた。安形の動きに仰け反って揺れ動く白い咽が揺らめく画面の光に照らされて、流れる汗と涙が淫らに安形を誘う。 「ぅんっ、んんっ、んっ!!」 一際激しく椿が仰け反って、椿が声を上げた。安形の掴む脚をびくびくと震わせながら、椿は安形の腹へと精液を吐き出す。同時に内壁がキツく安形を締め付けて、その快感に安形も椿の内へと欲望を吐き出していた。余韻に息を乱しながらも安形が椿に視線をやれば、椿は頬を涙で濡らしながらも漸く去った危機に少しばかり安堵して、口元を緩めている。声と同時に息も浅くなっていた唇が薄く開き、ネクタイが唾液の糸を引きながら落ちて行った。 「へぇ・・・それ、離すんだ」 「かい、ちょ・・・・・」 安形の言葉と後に続いた嗤い声に、椿の琥珀が不安に揺れて安形の名を呼ぶ。安形は名を刻んだ唇に舌を差し込んで深く口付けながら、片手を脚から離して胸元の突起へと指を這わせた。 「ぃたっ・・・あっ・・・」 唇を離すと同時にそこを捻り上げられて、椿の唇から甘い悲鳴が漏れる。打って変わって優しくそこを揉み潰せば、悲鳴が喘ぎに変わって表情も悦を帯びた。その姿に安形の下肢が再度熱を持ち、椿の中に留まったままで固くなっていく。 「一回で終わるとか、思ってねぇよな?」 「・・っ・・・かい・・ちょ・・・・おねが・・・」 低く響いた安形の声に、椿は小さく顔を振りながら懇願を示した。それに対して安形は言葉では答えず、身体を動かす事で応える。 「・・やっ・・・やぁあっ・・あっ!」 「・・・・・気付かれたら終わりって言ってるだろ?」 遮る物が無くなって大きく響き始めた喘ぎに、安形は忍び笑いを含ませながら恐怖を煽る言葉を漏らした。スピーカーから洩れる大音量の音がそんな物は掻き消しているのに、椿に取っては安形の言葉が全てになっている。怯え、震え、安形に縋りながら、それでも安形自身の動きに身を捩って快楽に声を上げ続ける、その姿が、 ――愛おしいって思うのは、 怯えも震えも快楽も何もかもが、自分が与えている物だと思うと、湧き上がる愛しさに安形は胸を占められた。 ――歪んでるなんて、十分解ってるんだ・・・・・・ 本当に求めて已まないものが手に入らないなら、せめてそれ以外全てを。せめてそれ以外全てを、慈しむから、と。安形は歪んだ愛情と濁った欲望とを、椿に注ぎ続けた。
Clap!【基本R18】
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