スキャットダンス2

 見回りの為に校舎内を歩いていた椿がまず最初に気がついたのはズボンの中の違和感だった。
――何だ? 中に何か・・・
 何だか左足辺りに何かが触れていてくすぐったいと思ってはいたが、直後遠く正面に天敵の姿を見つけ、それもすぐに消し飛ぶ。スケット団の三人が仲良く向かいから歩いてきたのだ。
「藤崎・・・」
 嫌そうな顔をして名前をぼそりと漏らせば、名を呼ばれた人物もほぼ同じ表情で椿を見る。が、次の瞬間にはこれでもかと言わんばかりに目を見開き、隣の鬼塚に何かを喚きだした。そのままダッシュで椿の目の前まで走ってくると、勢いよく両手で椿の肩を掴む。
「おおおおおお前っ! 大変な事になってんぞ!!」
「うるさいっ! 廊下で騒ぐな! あと気安く触るな!!」
 藤崎の手を払い除けつつ、そう返せば、藤崎の後を追って残りの二人も走ってきた。笛吹は珍しい物を見るような目で、そして鬼塚は目を輝かせながら、二人とも食い入るように椿を見ている。
『これは・・・本物か?』
「どっちでもええわ〜。もう、こんなん、アタシどうしたらええのん?」
「二人とも、何を言って・・・」
 椿が言い終わらないうちに、カシャっと軽快な音が響いた。見れば笛吹が自分のデジカメで椿の事を撮っている。その行為に椿はムッとしていたが、笛吹は全く意に介さずその画面を椿に向けた。
「本当に、何な・・・うわぁーっ!」
 仏頂面で差し出された携帯の画面を見た椿の咽から悲鳴が上がる。そこに写っていたのは毎日見ている自分の顔・・・・・・ではあったのだが、何故か黒い猫耳とヒゲが生えていた。
『気づいてなかったのか・・・』
 呆れ気味の笛吹の言葉にも気付かず、椿は冷や汗を掻きながら自分の頭に手をやる。確かにそこには髪の毛とは明らかに違う感触の物があった。
――と、言う事は・・・・・・
 そっとズボンに手を突っ込み、左足の辺りを触ってみる。触れた物を掴んで出せば、それはまごう事無く・・・
「しっぽや・・・・・・」
 鬼塚がぼそりと呟いた。それを見ていた椿は、鬼塚の横に何だかよく分からないメーターが見えた気がする。徐々に上がっていくメーター。そして、
「しっぽまで生えとるってお前どんだけやぁぁぁっ! ボッスン!!」
 一気に針が振り切れた。
「は、はいっ!」
 鬼塚の鬼気迫る気迫に圧され、直立不動で藤崎が返事をする。
「ちょっと椿の後ろ回れやっ!」
「はいぃ!」
 言われた通りに後ろに回る藤崎。
「そんで肩に手ぇ置け。椿、ちょい屈めや」
「こ、こうか・・・?」
 何となく言われるままに中腰になる椿。
「ボッスン、そこに顎乗せえっーーーー!!」
「イエッサーッ!」

 はい、ちーず カシャ

 電子音の声と機械的なシャッター音。
「よっしゃー! アタシこれ一生の宝物にするぅぅぅぅ!!」
 鬼塚が叫びながら掲げ上げてた携帯には、ぽふんと藤崎の顎が椿の猫耳の間に乗せられた写真が映し出されていた。
「何撮ってんだヒメコーーーっ!!」
 言われるままに行動してしまったものの我に返った藤崎が叫ぶ。
「消っ・・・ぐふっ!」
 鬼塚から携帯を取り上げようとした藤崎の咽仏に、薫風丸が勢い良くヒットした。蛙の潰れたような声を上げ、藤崎は地面をのた打ち回る。
「お前は黙っとけ。待ち受けにセット、と・・・あかん」
 写真を眺めながらぼそりと鬼塚が呟いた。
「足りへん・・・・・・スイッチ、ネコミミ持ってへんか? ボッスン用の」
「ヒ゛メ゛コ゛ー!」
 咽を押さえて何とか声を出した藤崎には目もくれず、スイッチが何処からか猫耳と尻尾を取り出す。
『キジトラタイプで良ければ。サイズは問題無かった』
「何で猫耳持ち歩いてんだよ! そんで何で問題無かったって過去形? オレ、知らない間に猫耳付けられた事あった訳?!」
「ナイスや、スイッチ。あ、椿。しっぽが上手い事映らへんから、ズボンのケツに穴開けてええか?」
「ヒメコォー!! ここ、廊下。学校の廊下、ね? 間違っても同級生のズボンのケツに穴開けていい場所じゃないから、ね?」
「うっさいな。もっかいシバかれたいんか、あぁ゛? えぇからお前は早ぉこのネコミミ付けんかい! あ、ケツ裂いてしっぽもな」
「何でオレだけズボンじゃないの?! 怖ぇよ!!」

「君達は少し落ち着けーーーーっ!」

 横で大人しく――正確には怯えて――事を見守っていた椿が、とうとうキレて怒鳴り声を上げた。だが、ぴたりと停止した三人の視界に入る椿は怒りに耳と尻尾を膨らませ、威厳も何も無い――むしろ可愛い生き物でしかなかった。取り敢えずと鬼塚がスッと携帯をかざして再度写真を撮る。
「こらーっ! 勝手に撮るな!!」
『そうだぞ、ヒメコ』
 鬼塚の肩をぽんと叩き、笛吹が一歩前へ出る。
『親しい友人だろうと写真を撮る時は一言断るのがマナーだ。ましてや面識の薄い人間なら、理由を添えて頼むのが筋と言うもの』
――意外とまともな事を言うんだな、こいつは。
 笛吹に注意されてしゅんとなっている鬼塚を見ながら椿がほっと胸を撫で下ろしていると、笛吹がくるりと首を回し椿を見た。
『所で椿佐介・・・』
 真面目な顔でフルネームで名前を呼ばれ、若干驚きながらも椿は何だと応える。
『何だか今オレはこの写真を使って危ないサイトを開設しそうな勢いなんだが・・・写真を撮ってもいいだろうか?』
「全力で断る」
『もちろん、顔などはきちんと隠すぞ。駄目か?』
「あの理由で肯定の返事をする人間が居たら見てみたいぞ、ボクはっ!」
『それなら、今お前がYesと答えれば見る事が出来る訳だが』
「そう言う意味ではっ・・・」

「はい、そこまでーーーーっ!」

 じりじりと椿に近付いていた笛吹を引き剥がし、今度は藤崎が怒鳴り声を上げた。そのまま素早く自分の被っていた帽子を外すと、それを椿の頭に被せる。
「お前がいつまでも猫耳出してるから、こいつらのテンションがただ上がりになんだよっ! ほら、尻尾も早くしまえ!!」
「ボクに命令するなっ!」
 そうは言いながらも椿は尻尾をズボンの中に押し込んだ。あからさまにがっかりとする鬼塚と笛吹を見て、藤崎の言は正しいらしいと心の中では思う。
「・・・・・・こんだけ大騒ぎしといて今更だけどさ、お前、何で色々生えてんの? それがお前流の大人の階段? 登っちゃったの??」
「どんな階段だ! 心当たりなんて、特に・・・あっ」
 藤崎の問い掛けにツッコミを入れつつも律儀に答えていた椿の思考が、先日のある出来事に辿り着き一気に顔色が蒼褪めた。
「何? 何かあったのかよ?」
「この間、猫になって・・・」
「ああ、修学旅行の時な。なってたな、お前」
「いや、その後にだな・・・全身、猫になってだな・・・」
「え? もしかしてリアル猫? そんでもしかしなくてもチュウさん絡み??」
 こくり、と椿が頷く。今度は藤崎が蒼褪める番だった。
「いや〜な予感すんだけど・・・」
「・・・・・・勝手に戻ったので、きちんと解毒剤を飲んでいない」
「はい! オレ達の目指す場所が決まりました!!」
 くるりと鬼塚と笛吹に向き直り、挙手をしながら藤崎が言う。
「こいつさっさとチュウさん所に連れて行くぞ!」
「待て、それ位一人で行ける!」
 椿の腕を掴んで引き摺って行こうとした藤崎の手を払い除け、椿はそう言った。そこに鬼塚が、そやけどと割り込んでくる。
「椿、も一個しまえてへんもんがあんで」
『そうだな。そのヒゲをなんとかしないと。ただでさえ赤いツノ帽子にゴーグルなんて可笑しな恰好なのに、それにヒゲが加わると、ちょっと廊下を歩くのは何だぞ』
「ちょっと待って。今、オレ、間接的にけなされたよね? 先生、いじめが! ここでいじめが起こってますっ!」
「藤崎っ、貴様はちょっとは落ち着いて問題を解決すると言う事は出来ないのか!!」
 また脱線しかけた会話を慌てて修正する為、椿は声を張り上げた。先程から何回怒鳴ったのか、既に分からなくなってきている。
「そや、アタシソーイングセット持ってんで。こん中に小っさいハサミ入ってん」
 そう言って鬼塚はスカートのポケットから円形の小さな缶を出した。それを開ければ糸や針に混じって確かに数センチの鋏が入っている。
「一応、部室に帰ったら毛抜きもあんねんけど・・・」
「鋏で頼む」
「そうだよ、ヒメコ。こんなぶっとい毛、お前が毛抜きで抜いた日にゃ顔面の皮が剥がれそ・・・がっ」
 藤崎を一ミリも見ずにきれいに腹部に踵を食らわせ、鬼塚は鋏を片手にひょいっと椿の顔に手を添えた。
「うわー、人の顔に刃物近付けるん、緊張するわー」
「こっちも同じだ・・・早目に頼む・・・」
 そう返されて鬼塚は改めて椿を見る。椿は確かに緊張しているらしく、触っている頬は強張っていて片目を眇めた状態で鋏を見ない様にしていた。
――何や、ボッスンの弟言うだけで、ごっつ可愛ぇのに・・・こんなやたらと可愛らしく緊張でぷるぷるほっぺ震わせて身ぃ縮込ませられたら、アタシもうどうにかなって、いやむしろどうにかしてまいそうやわぁ・・・」
『ヒメコ、途中から全部口に出てるぞ。だが禿同』
「何でもいいから、早く頼む!!」
「はいはいー、分かっとりますぅー」
 詰まらなそうに鬼塚は言うと、手早く鋏を走らせた。物の数秒で椿の頬は以前と同じ、つるつるの状態になる。
「ほれ、出来たで」
「すまなかったな・・・ありがとう」
 気まずそうにしながらも礼を言う椿に、また鬼塚のゲージが上がり掛けた。別にお礼なんてええわぁと頬を染めながら左手を頬に当て、照れ隠しなのか手にしていた鋏をカシャカシャと高速で開閉している。
「・・・・・・貴様の所の副部長、刃物を持たせても大丈夫なのか?」
 思わずぼそりと呟いた椿に、藤崎が顔を引き攣らせながら応えた。
「危ねぇモン取り上げた所でアイツ素手でも凄ぇんだよ。絶対ぇ、陸奥圓明流とか極めてるって」
「ボッスン、指と爪との間に針を入れるとものごっつ痛いらしいんやけど・・・試してみるか?」
「ヤメテ、ソレ怖イ」
 ソーイングセットの中から新たに針を取り出す鬼塚に、怯えて何故か片言になる藤崎、そしてそれを見守る(?)笛吹。その三人を見て、やれやれと椿はため息をついた。
「・・・付き合っていられないな。ボクはさっさと中馬先生の所に行ってくる」
「おう。また変な薬飲まされそうな気もすっけど、次変身する時も哺乳類だといいな」
「何で変身前提なんだ! きちんと戻してもらうからなっ!」
 言い捨てて椿は歩き出した。不覚にも三人との遣り取りが少し楽しかったのを覚られたくなくて、俯いた状態で少し早足になる。
「!」
 その所為かどうか、椿は窓際の壁にぶつかった。派手におでこを打ち、ずれ掛けた帽子を慌てて押さえる。
――きちんと前を向いて歩いた方がいいな。
 心を落ち着けて改めて歩き出す。が、数秒経たない内に今度は反対の教室のドアにぶつかった。
「なぁ、ボッスン。何や椿、おかしないか?」
「え? あ、ホントだ。アイツ何ふっらふらで歩いてんの?」
 鬼塚がそれに最初に気づき、藤崎に話を振る。言われ視線を椿の後姿に向けた藤崎は、左右に蛇行して歩く椿を不思議そうに見た。瞬間、はっとした様子で笛吹がキーボードに指を走らせる。
『思ったのだが、現在、椿は肉体的に半分猫の状態なのだろう? そして猫はヒゲで周囲の様子を感じ取り、動いていると言われている』
「あ、聞いた事あるわ。何や猫のヒゲ切ったら、真っ直ぐに歩けへんようになるって」
「そっか。て事は半分猫の椿のヒゲを切ったら・・・椿ーーーーーっ!」
 事の重大さに藤崎が叫び声を上げたのは、まさに椿が階段を降りようとした瞬間だった。慌てて再び廊下を駆け抜け、椿の襟首を引っ張る。そのまま尻餅をついて廊下に座る椿に、畳み掛ける様に藤崎は怒鳴った。
「お前、どんだけお約束踏めば気がすむんだよ! 真っ直ぐ歩けてないって気づいて、早く!!」
「うるさいっ! そ、そうかな、とは思ってたんだ!!」
 廊下に放り出された状態で、照れ隠しか赤くなりながらも椿は怒鳴り返す。
「しゃーねぇなー・・・チュウさん所まで送ってやっから」
「貴様の手は借りん!」
 差し出した手を椿に払い除けられ、藤崎はムッとした。
「じゃぁ、お前一人で立ってみろよ」
「立つぐらい・・・」
 そう言って立ち上がろうとした椿の身体が途中で傾ぐ。慌てて床に手を付いて改めて体勢を立て直して立とうとするものの、途中で眩暈を起こして再び床にへたり込んでしまった。
「ほーらねー。立てない。この子、一人で立てませんー。ざまぁー、バーカバーカ!」
『こらこら、少年。亀をいぢめてはいけないよ』
「何のキャラや、それ。ボッスンもええ加減にしとき? お兄ちゃんやろ。少しは我慢する事、覚えなあかん」
『そうだな。ついでに学習する事も覚えた方がいい。以前も同じ目に遭っただろう』
 おかんキャラになっている鬼塚の横で、笛吹はパソコンに指を走らせた後、何やらケーブルを取り出す。それを持っていたデジカメに繋ぎ、逆の先端をパソコンへと繋いだ。
「学習ってウッセーよ! つまりは前と同じ手は使えねぇって話だろ。どうすんだよ」
『迷い猫は迷い猫らしく、飼い主に迎えに来てもらえばいい』
「あ、そうや。生徒会長はんやったら、椿も言う事聞くんや」
『そう言う事だ。送信、と』
 三人の会話の後に響いたカチャと言う音に反応し、床に手を付いたままの椿の顔色が青くなる。
「笛吹・・・お前、あの写真を会長に送ったのか・・・?」
『いや、写真は送っていない』
 その言葉に椿は一瞬、ほっとした。が、
『今迄の経緯が良く解る様に、動画を送った』
「っーーーー!!」
 立ち上がれないため、椿は床に座り込んだままで笛吹のズボンを引っ張る。文句を言おうとするものの言葉が出てこず、ぱくぱくと口を開閉するだけで鯉の様な状態になってしまっていた。
『? 何か問題が有ったか?』
「貴様は今、一番現状に収拾がつかなくなる人物に連絡を入れたんだ!」
「何や、会長はん呼んだらあかんか・・・」
 鬼塚の言葉が終らない内に廊下の向こうから地響きに近い音が聞こえてくる。全員がそこに視線を向ければ、現在話題に登っていた人物――生徒会長・安形惣司郎が全速力で走る姿があった。
「椿ーーーーっ!」
「ぅわあっ!! 何処まで予想通りなんですか、貴方は!」
 走ってきた勢いそのままに、安形は椿に抱き付く。本来なら避ける所なのだが、普通の状態ではない椿はあっさりとその腕に捕まった。その拍子に帽子が脱げ、安形の目の前に猫耳付の姿を曝してしまう。それを目にした安形の呼吸が、一瞬止まった。
「か、会長・・・?」
 椿が呼び掛けたものの、それも聞こえないかの様に安形は無言でその耳を触る。触れた瞬間ぴぴっと動き、柔らかな感触の暖かい物が安形の指から逃げた。それを再度捕まえ、安形は指で何度も確かめる。
「温けぇ・・・動いて・・・」
「そ、それより、人が・・・が見て・・・かいちょ・・・っ!!」
 ぱくんと言う音を、取り残された三人は聞いた気がした。触っていた猫耳を安形が咥えたからだ。椿は最初驚いて目を丸くしていたが、自分の現状――三人の目の前で安形に抱き締められ、猫耳を咥えられていると言うこの状況――を理解した瞬間、一気に涙目になり顔を真っ赤に染め上げた。
「う、うわぁぁあー!」
 バチンとバキとバリの中間の様な音を響かせ、椿の左手が安形の頬に飛ぶ。驚く安形の頬にはきっかり四本、赤い線が走っていた。
「こ、ここ・・・どっ・・・ふっ・・・見て・・・っ!」
 怒りと羞恥とで身体を震わせながら文句を言おうとした椿だったが、感情が昂ぶり過ぎてまともに言葉にならない。その姿を見て安形は少し考える素振りを見せた。
「・・・・・・よし、分かった」
 自分の腕の中で涙目で赤くなって小刻みに震える生き物(猫耳付)を見詰め、安形は真剣な顔で頷く。そして信じられない事に、次の瞬間には椿を片腕で抱き上げていた。小脇に抱えられる格好になった椿は、今度こそ思考停止に陥る。
「今すぐ、人目の無い場所に移動しよう」
「え? ええ??」
 平衡感覚を失っている椿はもう上下も分からず、抱えられているその腕にしがみ付くしかない。そのまま安形は悠々と椿を抱え、その場を立ち去った。二人の遣り取りに呆然とするスケット団の三人を残したまま。
「化学準備室、あっちやないやろ・・・」
『今の方向は・・・視聴覚室がある、な・・・』
 防音完備。そんな言葉が笛吹の頭を過る。何となく笛吹が鬼塚を見れば、同じく鬼塚も笛吹を見ていた。互いに複雑な表情を浮かべて顔を見合す二人の間を通り抜け、藤崎は落ちたままだった自分の帽子をゆっくりと拾った。軽くそれを手で叩くと改めて被り、二人へと向き直る。
「なぁ・・・」
 藤崎は真顔で二人の肩に手を置いた。
「・・・オレら、何も見なかったよな」
 全部無かった事にしようと言う藤崎のその発案に、
『今、オレ達は放課後になって部室に向かっている最中だ』
「別に誰にも会うてへんし、なーんも起こってへん・・・」
 二人は二人してここぞとばかりに乗っかる事にした。仲良く三人で、しかし無言でスケット団はいつも通りに部室へと向かったのだった。

 その後、椿の身に何が起こったかは、また別の話となる。

2011/05/22 UP
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