彼と僕の関係性

彼は、王子様のような人だった。

ハーフなのだろう彫りの深い顔と艶やかなブロンド、長身とそれに見合った均整のとれた体躯は、まさしくお伽話に出てくる美しくも勇敢な王子様そのもので。
芸能人でさえ霞んで見えるだろう存在感と美貌を兼ね備えた彼の周りには常に、老若男女問わず彼を我が物にしたいという人達で溢れていた。


―――そんな、誰もが羨望する彼が…


「っひ、ぅ……あ゛ぁ…ッ」


まさかこんな姿で乱れているなんて…誰が思うだろうか。


「感じてるの…? これで?」
「く、ぅん……っもち…きもち、い…っ」
「ふぅん…なら、これは?」
「い゛っ! ぁ、は…」


全裸のまま頭上で両手首を縄で縛られ、M字開脚の状態で固定された彼。透き通った群青色の眸は今は黒い布で覆われ、首には犬用の首輪、性器の根元にはリングを嵌められ、その下の口からは3本ものコードが足元に放られたリモコンへと繋がっていた。

縛っている最中から反応していた彼の性器は、リングがキツく食い込んでいるにもかかわらず先走りに塗れていて。節操なくヒクヒクと震え、ベッドのシーツに卑猥なシミを作り出していた。


「ほんと、やらしいなあ…皆がこんな君を見たら、きっと軽蔑するだろうね」
「やっ、ぁ…ひぐっ! あンん…」


嗤いながらトン…と軽く指先を弾けば、面白いほど彼の身体が跳ね上がる。その度に手首を縛る縄が軋み、さらに肌へ食い込むのを彼が愉しんでいることに、当然僕は気付いていた。


彼の剥き出しの上半身に散る、無数の灰色。
滑らかな肌を赤く焦がすのは…僕の吸っている煙草の灰だ。普段煙草なんて吸わない僕が彼のためだけに取り寄せた…彼お気に入りの香りの、それ。


「そんなに気持ちいいなら…これはどうかな?」
「え? …っあ゛?! あああああ!!!!」


ジュウゥッ…という音とともに鼻孔を刺激するのは、肉の焼ける臭い。まだ半分ほど残っていた煙草を、彼の身体で押し消したのだ。
本当は乳首にしたかったけれど、折角の綺麗な乳首が変形すると嫌だから…代わりに皮膚の薄いだろう乳輪を選んであげた。


「さすがに痛かった? …あれ? そうでもなさそうだね」
「ひぃっ! やッ、ン、あ゛ぁ…!」

口を開けたまま喉を反らし、ヒクンヒクンと小刻みに痙攣する彼。
煙草の灰を払い落とすと薄茶色のそこには赤黒く爛れた丸い痕が残っていて。血の滲むそれにねっとりと舌を這わせれば悲鳴じみた声が上がり、それと同時に僕の服を僅かの白濁が汚した。


「リングしてるのに出すなんて…悪い子。しっかり、蓋をしてあげなきゃね」


彼の口端から垂れた涎を舐めとりながら、傍に用意していた綿棒を手に取る。
だらしなく出された舌先を前歯で齧り彼を正気付けてから、ヌルつく性器の先端に細い綿棒をまずは1本…容赦無く突き刺した。


「っ、ひあ゛あ゛あ!! ?…や、あ…アあッ」
「暴れないで。もう挿れてあげないよ?」
「! やだ、ぁ…っも、と…欲し、っひうぅぅ」


そう言えば、痛みと快感に跳ねる腰を無理矢理シーツに擦り付ける彼が可愛らしくて…嗜虐心を煽られるまま、僕はすでに開ききっている尿道口へと立て続けに2本、綿棒を無理矢理押し込んだ。

途端上がる掠れた悲鳴を聞きながら、3本を滅茶苦茶に動かして尿道を掻き回していく。限界以上に拡げられているにもかかわらず、先走りのおかげで綿棒はスムーズに動いた。
酷い激痛なんだろう、声さえ出せずに全身を痙攣させる彼は、けれど性器は一向に萎える気配を見せず…それどころか綿棒の隙間からはとめどなく先走りが溢れ、僕の手をしとどに濡らしていった。


「これだけ掻き回されたら、ゆるゆるになってオシッコ漏れちゃうかもね」
「やら…ぁ、…ひ、っこぉ…ちゃん、と…っ」
「オシッコちゃんとしたいなら、もうやめないと」
「っや! …やぇ、な…で……!」
「ふふ…ほんと、我儘。そんな子には…」


少しだけ、お仕置き。
その言葉にビクつく彼を尻目に、僕は彼の性器を指が食い込むほど握り締めると…そのまま激しく、綿棒を上下に動かした。

「ひぎ、ぃ…あ゛あ゛あ!! ッナカ、ぁ…っれ、て…えぐ、れ…ッッ」
「うん、痛い?」
「ったひ、…けど…ッイイ、ら…っめな!」


掌に、ゴリゴリと綿棒の動く感触が伝わってくる。それでも彼は快感に喘ぎ、啼き叫んだ。

普段液体しか通らない箇所に異物を受け入れ、拡げられ、粘膜を擦り上げられて…きっとじきに彼のココは、普通に排尿することさえ叶わなくなるだろう。
現に今も、入口から僅かに覗いた先端にはうっすらと血が付着していた。

ただ…僕も彼も、それで構わない。
だって、互いにそれを望んでいるのだから。
たとえ彼が壊れてしまったとしても…僕が彼を見捨てたりはしないのだから。


「いい子には…ご褒美だよ」


暗い悦びを胸に…呂律の回らない口で必死に乞う彼から離れた僕は。
彼の視界を塞ぐ布を取り払い、真新しい箱から取り出した煙草に…ゆっくりと火を灯した。




[] [モドル]

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