01 「双花さん」 『ん?』 「卒業おめでとうございます」 『どうも〜』 高校三年間、私はずっとこの梟谷高校の この広い体育館で青春を謳歌した。 目の前にいるでかいやつは一つ下で 男子バレーボール部の次期部長の赤葦くん。 私の可愛い可愛い後輩であり、想い人でもあった。 過去形なのは今日で彼とおさらばなのだ。 『悲しいね』 「そうですね」 『泣いてもいいんだよ?』 「先輩はもう泣いてます」 『う、うるさいぞ』 「ねぇ先輩」 『なん...だね後輩くん...』 「好きです」 『へ?』 「嘘って顔してますけど本気ですよ」 『...私おばさんだよ?』 「...そ、そうですn『なに肯定してんだバカやろ』...」 『わがままですよ?』 「木兎さんよりかなりマシですよ」 『...ほんとにいい?後悔しない?』 「もちろん」 『よろしくね、赤葦くん』 「はい、これでまた会えますね」 『いつでも会いにおいで』 「喜んで」 卒業式の日、私は彼氏ができました。 [*前] | [次#] ページ: |