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「双花さん」
『ん?』
「卒業おめでとうございます」
『どうも〜』

高校三年間、私はずっとこの梟谷高校の
この広い体育館で青春を謳歌した。

目の前にいるでかいやつは一つ下で
男子バレーボール部の次期部長の赤葦くん。

私の可愛い可愛い後輩であり、想い人でもあった。
過去形なのは今日で彼とおさらばなのだ。

『悲しいね』
「そうですね」
『泣いてもいいんだよ?』
「先輩はもう泣いてます」
『う、うるさいぞ』
「ねぇ先輩」
『なん...だね後輩くん...』
「好きです」
『へ?』
「嘘って顔してますけど本気ですよ」
『...私おばさんだよ?』
「...そ、そうですn『なに肯定してんだバカやろ』...」
『わがままですよ?』
「木兎さんよりかなりマシですよ」
『...ほんとにいい?後悔しない?』
「もちろん」
『よろしくね、赤葦くん』
「はい、これでまた会えますね」
『いつでも会いにおいで』
「喜んで」

卒業式の日、私は彼氏ができました。


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