10 いつも通り目覚まし時計が朝を知らせる。 うるさい音をなんとか止めて、体を起こした。 今日は一段ときつい。元から朝は弱いのだけれど、今日はいつもよりきつい。 なんだか頭とか喉も痛いし、寒気すら感じる。 『おはよぉ....』 「おはよ」 リビングにいくと京治くんはすでに起きていて、テレビを見ていた。 「双花」 『んー?』 「寒い?」 『ちょっと寒い...です...』 寒いことどうして分かったんだろう。 彼はエスパーなのだろうか。 「これ着ていいよ」 『ありがとぉ....』 渡されたのはソファーにかかっていた、彼のジャージ。 「双花、おでこ」 『あい?』 おでこ、と言われたので前髪を上げると私の大好きな彼の手がおでこに当てられた。 「熱い」 『ふぇー』 一応、ということで渡された体温計で熱を測ると高熱でした。 「今日は休もうか」 『ん...』 「じゃあ部屋行くよ」 『抱っこ...』 「はいはい」 どうやら私は風邪を引いたようです。 ぼーっとする頭と視界のなか、京治くんにお姫様抱っこをしてもらって部屋に帰る。 「今日はバイトないから授業終わったら急いで帰ってくるから」 『うん...』 「何かあったら連絡してね」 『うん』 「じゃあおやすみ」 『おやすみなさい』 おでこに軽くキスをして彼は部屋を出て行った。 そして私も、もう一度眠りについた。 [*前] | [次#] ページ: |