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赤葦くんを見送ったあと、すぐに布団に潜りこんだ。
次に目覚めたら時計は10時近くを指していた。

家事をこなしつつ、リクエストされたものを作る。
バレンタインの曲は可愛いものが多くて、歌っていて楽しい。

おやつの時間くらいに出来上がった。

『うん、美味しいんじゃない?!』

綺麗に飾りつけして、コーヒー作っておやつにする。

「一人だけとかずるいですよ」
『ひゃあ!?』
「俺の分は?」
『あるよ!ってかいつ帰ってきたの?!』
「今です」
『存在感!!』
「双花さん集中したら周り見えなくなりますもんね」
『今食べる?』
「出来立て食べたいです」
『わかりました』

驚いた。食べようとしたら、後ろから赤葦くんが声をかけてきた。
とりあえず席につかせて、コーヒーを渡す。

『はい、美味しくないかもだけど...』
「そんなことないです」
『あるの』
「あ、写真撮ります」
『え?!』

彼は私の作ったものを写真に撮って、嬉しそうに笑っていた。

『なんか赤葦くんがそんな風に笑うの久しぶりに見た』
「そうですか?」
『うん』
「うれしいです、物凄く」
『それはよかった』
「双花さん」
『ん?』
「京治」
『うん?』
「京治って呼んでほしいです」
『また突然...まぁいいや』

ずっと赤葦くん呼びだったし、私もタイミングがつかめなかった。

『京治』
「はい?」
『ハッピーバレンタイン』
「はい」

私は、美味しそうに食べる彼をこっそり撮影した。


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