12 赤葦くんを見送ったあと、すぐに布団に潜りこんだ。 次に目覚めたら時計は10時近くを指していた。 家事をこなしつつ、リクエストされたものを作る。 バレンタインの曲は可愛いものが多くて、歌っていて楽しい。 おやつの時間くらいに出来上がった。 『うん、美味しいんじゃない?!』 綺麗に飾りつけして、コーヒー作っておやつにする。 「一人だけとかずるいですよ」 『ひゃあ!?』 「俺の分は?」 『あるよ!ってかいつ帰ってきたの?!』 「今です」 『存在感!!』 「双花さん集中したら周り見えなくなりますもんね」 『今食べる?』 「出来立て食べたいです」 『わかりました』 驚いた。食べようとしたら、後ろから赤葦くんが声をかけてきた。 とりあえず席につかせて、コーヒーを渡す。 『はい、美味しくないかもだけど...』 「そんなことないです」 『あるの』 「あ、写真撮ります」 『え?!』 彼は私の作ったものを写真に撮って、嬉しそうに笑っていた。 『なんか赤葦くんがそんな風に笑うの久しぶりに見た』 「そうですか?」 『うん』 「うれしいです、物凄く」 『それはよかった』 「双花さん」 『ん?』 「京治」 『うん?』 「京治って呼んでほしいです」 『また突然...まぁいいや』 ずっと赤葦くん呼びだったし、私もタイミングがつかめなかった。 『京治』 「はい?」 『ハッピーバレンタイン』 「はい」 私は、美味しそうに食べる彼をこっそり撮影した。 [*前] | [次#] ページ: |