10 家に帰ると彼はまだ帰っていなかった。 直に帰ってくるだろうってことで夕飯を作り始めた。 『終わった....帰ってこない』 携帯を開くけど連絡なし。おかしい。 どうしよう...事故とかに遭ってたら....。誘拐されたりしてたら....。 嫌なことばかりが頭をよぎる。 髪を切って気持ちもリフレッシュしたはずなのに。 あぁ、なんだか視界までかすんできた。 『京治ぃ...』 「...なんですか?」 『....!?』 ソファーに一人で小さく縮こまっていたら、後ろから抱きしめられた。 『あったかい』 「そりゃ生きてますから....」 『うぅ...おかえり赤葦くんっ!』 「ただいまです」 振り返って抱き着くと、彼は私を抱えあげた。 『連絡しなさいよー』 「木兎さんたちに拘束されて出来ませんでした」 『アイツ...今度シめる』 「はい、どうぞ」 『うぅバカ赤葦ぃ〜』 「すみません。もう泣かないで」 『泣いてないし』 「あ」 『...ん?』 「髪切ったんですか?」 『今頃ですカ?』 「....です」 『ほい?』 「やっぱり可愛いです」 『...ありがとうございます...』 「ってことでチューしていいですか」 『それが言いたかったんでしょ』 「はい」 『...どうぞ』 「はい」 おかえり、大事なあなた。 [*前] | [次#] ページ: |