08


最近、職場からの帰り道によくピンク色だ赤色だハート柄の広告を見かける。
そういえば最近作ってないな...なんて思いながら帰る。

『バレンタインまでもうすぐやんか』
「そうですね...ていうか何で関西弁なんですか」
『気分。でね』
「あ、はい」
『今年は久しぶりに手作りをしようと思うのだが』
「ガトーショコラ食べたいです」
『え、まだお姉さん何も言ってないやん?』
「双花さんのガトーショコラで」
『え、あの...』
「いいですね?」
『はい...っておいこら』
「はい?」
『何言ってるんだねちみは』
「俺、双花さんのガトーショコラなら何個でも食べます」
『....分かった』

後輩で彼氏な彼はどうしてこうも私の扱いが上手なんだろうか。

『...京治のためなら私頑張るから』
「....それ今言うのは反則です」
『ん?...ちょ、重い』

隣に座ってた赤葦くんは読んでいた雑誌を乱暴に置くと、私に抱き着いてきた。
コーヒーこぼれるところだったんですけど....

「楽しみにしてます、バレンタイン」
『お、おう?』

おでこにチュってキスされて、奴はまた雑誌を読みだした。


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