04


最近は大きな仕事もなく、すぐに帰れるので家にいる確率がかなり高い。
今日も彼が帰ってくる時間より数時間早く帰ってきた。

正直、暇だ。かなり。

『んー家事はやることないし....あ』

適当に部屋をごそごそと漁っていると
ハンガーにかけたままの彼の高校時代のジャージを見つけた。

『うっわ、デッカ....』

高校時代は木兎や木葉のジャージをよく借りてはいたけれど、
赤葦くんのは着たことがなかった。

『5年前の夢、叶ったり〜』

全身鏡の前でくるくる回ったり、記念に携帯で写真を撮ってみた。
うん、すごい大きい。膝の近くまである...

全身赤葦くんの匂いに包まれてる...ってなんだか私変態だ。
でもニヤニヤが止まらない。まだまだ青春できるんじゃない?←

「夢叶ってよかったですね」
『....!?』
「口、魚みたい」
『....いいいいいいつからいたの?』
「双花さんがくるくる回るあたりから?」
『ほぼ最初からじゃん!』
「ドア開く音聞こえませんでした?」
『気づきませんでした』
「借りたかったら言えばよかったのに」
『言えるわけないでしょ..』

だって、あの頃は絶賛片想い中で君は他に女の子がいたじゃないか。

「彼女とはただの友人ですよ」

そういうと後ろから抱き着いてくる彼。

『心の中読まないの』
「双花さんのことはなんでもお見通しです」
『...天然女たらし』
「そんなことないですよ」
『....赤葦くんはお姉さんのことだけを見てて』
「もちろんです」

向きを変えられて、おでこにチュっとキスされた。

『...おかえり京治くん』
「ただいま双花さん」

向き合って、初めて分かった。

『赤葦くん顔真っ赤』
「先輩もですよ」
『チューしよっか?』
「もちろんするつもりでした」

この後、彼のジャージは私の部屋着になりました。


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