05
いつまで二人で話していたんだろう。いつのまにか水田くんが近くに来ていた。
「吉野、ちょっといいかな?」
『何?』
「話があるんだ、来てほしい」
『ここじゃだめ?』
「二人だけじゃないとダメなんだ」
どうしよう、なんだか雰囲気が怖い。
一を頼りたいけど今この教室にはいないし、徹は絶対にやだ。
「俺の彼女に何か御用ですか?」
『へ!?』
悩んでいたら、松川にいきなり肩組まれて、この発言。
周りもざわざわしだしましたよ、おい。
幼馴染コンビがこの場にいなくてよかったー....。
「お前ら本当に付き合ってんの?」
「まぁ、結構前から。ね、美緒」
『え?あぁ、うん。そうなの』
いきなり話振らないでよ!あたし演技とかダメなんだからね!
「そうなんだ...でも俺、松川よりお前のこと好きな自信あるよ」
『は?!』
何言ってんだこいつも!もうみんな頭大丈夫?
どうせウソなのは知っている。
『嘘つかないで』
「本当だって」
『....あんたと付き合ってもイイ女にはなりませんから』
「は?」
『カラダ目当てで来る男とかいらない、無理、来ないで変態』
「.....」
目の前の男は悔しそうな顔をした後どこかに逃げてしまった。
『はぁ....』
「おっと、大丈夫?」
『ありがとう松川』
緊張して腰が抜けてしまったあたしを松川はちゃんと受け止めてくれました。
クラスメイトの一人が「二人って付き合ってるの?」って
ちょっと小声で聞いてきたので
『「付き合ってない」』って声をハモらせて伝えると
「えー!」って驚きの声。
「俺は付き合って欲しいって思ってるけど」
『へ!?』
松川の思わぬ発言に顔が赤くなってどうしようって悩んでると
抱えられてそのまま教室を後にした。
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