アイス | ナノ
02


そしてバレンタインがやってきた。
望海ちゃんに背中を押され、私は花巻に毎年のようにチョコをあげた。

でも今年は違ったりするんです。中にラブレター入りなのです。
気付いてくれるかな、無理かな?
鈍感なアイツなら無理かもしれないな。

『渡してきたー』
「おお!!おつかれちゃん」

調理部活動の場所の家庭科室に行くと大量のチョコレート。

『なにそれ』
「あぁ....」
『あー....モテ男くんね』

綺麗にラッピングされた包みに巻き付けてあったネームプレートを見て分かった。
モテ男くん....及川君。
彼はどうやら既に彼女がいるようで、
渡す勇気がなかった女子たちが置いていったようだ。

『大変だよね〜』
「せっかく作ったのにもったいないよね」
『私たちでチョコフォンデュにしちゃう?』
「えぇ!?」
『だってこのままここに放置されても腐るだけだよ?』
「....じゃあ、する」
『やった〜』

大量の包装紙を一つ一つ丁寧にほどき、
作った人にお礼をいいながらチョコを溶かしていく。

数十分後、準備は整った!

『よし、いざ実食しよ「梨々香ちゃん携帯なってるよ?」...誰だ!』

震える携帯のディスプレイには花巻の文字と
メールだったので件名のところに至急と書かれていた。

急いで携帯を開くと、メールの本文には

"あと数分で体育館裏に来い"とだけ書かれていた。

『ごめん望海ちゃん』
「ん?」
『ちょっとトイレ行ってくる!』
「は〜い。先に食べてるからゆっくり行ってきていいよー」
『はーい』

家庭科室から体育館までは結構離れていたりいなかったり。
後で、覚えておけよ花巻こんにゃろう....

『はな、まきっ!』
「お、来た」
『なにが...来た...なのよ』
「走ってきた?」
『おう』
「あーわりーわりー」
『で、ご用件は』

どうしてだろう、胸がざわざわするわけで。
どうせパシリに使われるだけだと思っても、今は花巻の言葉を聞きたくない。

「チョコありがとな」
『うん?あんたのために超甘くしときましたよ?』
「うん、食った。すげー甘かった」

は?食った?
じゃあ、あれも見られたワケ?

『私、望海ちゃん待たせてるから』
「待って」

逃げようとしたら腕をつかまれて逃げることができなくなった。

『離して』
「やだ」
『なんで』
「だって、こんなの渡されたら...」
『....迷惑だったよね、じゃあ離して』

もうこいつの顔も見たくない。見たら泣いてしまうだろう。
あぁ、今まで仲良くしてくれてありがとう花巻。

「ちょ、待てって」
『何!』
「ありがとう、俺も好き...デス」
『....はい?』

最後の方声がフェードアウトして全然聞き取れなかったけど、
正面にいる花巻はなんだか顔が赤い。

『...もっかい』
「は?!」
『聞こえなかったからもう一回!』
「...あーもう!俺と付き合ってくだサイ!」
『...喜んで』

こうして彼とのお付き合いが始まりました。



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