アイス | ナノ
03


聞いてしまった。

「吉野?あぁ確かに美人だけど、別に好きじゃねーよw」
「でもお前のこと好きらしーぜ?」
「えーまじで?じゃあ俺狙っちゃお〜」
「うわ、なんだよお前ww」
「だってスタイルいいしイイ女になりそうじゃん」
「水田顔ww」
「俺がイイ女にしてやるよw」

あたし、弄ばれてたんですね。
声かけられてうれしいとか一にすごく楽しく話してたあたしは...

『あーもう...バカみたい...』

高1の冬、初めての失恋?いや、失恋までしてない?
部活が終わって、幼馴染を待ってる間に体育館の近くの暗い廊下で泣いていた。

「吉野サーン」
『...ま、松川?』
「ちーっす」
『な、なに』
「いやなんとなく?つーか幽霊みてーだよ」
『うっさい』
「寒いっしょ、これ着けて」
『でもそしたら松川が...』
「部活したあとであっちい」
『そーですか...』

松川が近くに来てるの気付かなくて、自分の体が冷えてるのも気づかなくて
彼がマフラーを貸してくれて初めて寒いって気が付いた。

「泣いてた?」
『....うん』
「おつかれ」

頭をポンポンってされる。なんかムカつくけど落ち着くのはなんでだろう。

『好きだった人にね、遊ばれてたの』
「あぁ...」

気が付いたら今までのことすべて話してた。

「よく頑張ったよ、吉野」
『ん...』

話し終わったら何故か松川に抱きしめられていた。
いつもだったら突き放すけど、今はなんだか安心できた。

「ねぇ吉野」
『ん?』
「吉野次第だけどその男に仕返ししたくない?」
『....ムカつくからしたい』
「じゃあ俺と付き合ってるってことにして見返してやろう」
『へ!?』
「んじゃ、また明日。マフラーはいつでもいいから」
『ちょ、松川待っ「美緒ちゃーんお待たせー!」...っこのクソ川ぁ!』
「なんで俺が蔑まれるの!?」

なんでだろう、今一瞬だけ付き合ってるって嘘ついてって言葉に
胸がズキって痛んだのだろう。



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