用事できたとか言って桜ちゃんは帰ってしまった。 残された私と黒尾さん。 『と、とりあえず黒尾さんは何時に帰るんですか?』 「んー夜?」 『曖昧』 「9時の新幹線で帰るよ」 『9時....』 時計はもうすぐ8時を指そうとしている。 「そういえば大海ちゃん」 『なんですか?』 「携帯、出なくてもいいの?」 『はっ!』 急いで確認すると、お兄ちゃんとお母さんから 交互に着信やらメールやらが入っていた。 『も、もしも{あんた何してんの!}』 あ、やばい。これは結構お怒りだ... 『桜ちゃんとごはん食べてました』 {外で食べるならちゃんと連絡なさい} 『申し訳ございません』 {で、もう帰るの?まだ帰らないの?} ちらっと隣の黒尾さんを見る。 彼は私の制服の裾をちょっとだけ握ってきた。 『もうちょっと遊んで帰る。ほかの友達もまだいるみたいだし』 {帰るときは連絡しなさい。お兄ちゃん使うから} 『あ、うん....』 電話を切って、溜息をひとつ。 「母ちゃん怒ってたなw」 『もうびっくりですよ...』 「とりあえずこれからどうすっかな...」 『どこかお店入りましょうか』 「きゃ、デートみたい」 『棒読みですね、素敵なくらい』 「褒め言葉どーもw」 座っていたベンチを離れて、近くのカフェに入る。 back to top |