当日、ついに文化祭が始まった。
あの大王様のことだ、きっと来ているだろう。

だから私は少しでもばれないように茶髪のウイッグを被った。
ツインテールの髪型のウイッグ。これは友人が無理やりしたものだ。

「で?名前の彼氏さんは来てるかなー」
「どうだろうねー」

宣伝がてらメイド服で校内を歩き回る。
いろんな人の視線が痛い。

「来てないといいな....」
「えー来てほしくないのー?」

欲しくない理由はたくさんあるよ!
人気者でかっこいいのに私の姿なんか見られたくないんです!

友人に先輩のぐちを語っていたら、前方から見たことのある人たち。
うん、先輩と岩泉先輩。あとほかのもとバレー部の先輩方。

ばれないようにすれ違う時に顔を下げて歩いた。
大丈夫、ばれてない。

ほっと息をついたのも束の間。

「この人借りてもいいですか?」
「「はい?」」
「行くよ」
「ちょ、え!?」

私の手をつかんで、引き留めにいらっしゃいました大王様。
友人もびっくりしてる。いや、私のほうが驚いてるよ。

ふらふら歩いてたのかどうかは分からないけど途中で

「ごめんねー」
「へ?!わわわ、先輩っ!?」

抱きかかえあげられて、より目立つ格好に。
あぁ、さっきより人の目線が痛い。

そしてこの前もきた空き教室に入ると、先輩は鍵を閉めた。

「名前ちゃん」
「は、はい?」
「....なんでそんなに可愛い恰好してるの?!」

移動中ほとんど話すこともなく、無表情だった先輩の顔が
一気にいつもの先輩の顔に戻った。

「かわいくありm「超かわいいよ?」...っ」

訂正しようと思ったら、耳元でささやかれた。

「本当にお持ち帰りしたいくらい」
「お帰りくださいご主人様」
「....っ!もっかい!もっかい」
「お帰りくださいませ?ご主人様っ」

もう吐きたくなるくらい甘い声で語尾にハートマークつけてやった。
引かれたかな、どうだろ。先輩の顔色をうかがっていると

「終わったら俺の家に帰ってきてね?」
「へ?」
「これは命令です」
「...嫌です」
「じゃあ今ここd「変態!」...うへぺろ」
「でも本当に可愛いんだよ?」

あ、大丈夫。いつもの変人な先輩だ。
一人で落ち着いていると、先輩が首元に顔をうずめてた。
そしてチクっとした痛みが...痛みが!?

「なっ!」
「男除け。あと俺のって印」
「こ、ここ見える!」
「見せなきゃ意味ないでしょ?」
「も、もう!」

ねぇ、名前ちゃん教室まで手つないで行こうか?
耳元でささやかれて、ニコッと笑われたら従うしかない。
そしてご機嫌な先輩と恋人繋ぎで教室まで向かうのだった。


----先輩、あのね
((どんなあなたでも大好きですが、大胆すぎる行動はやめて))


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