言葉通り御幸くんは時間ぎりぎりまで私にくっついていた。
朝ごはん作ってる時も、食べる時も、時間まだあったからニュース見てるときも。

正直くっいてほしくなかったってのもある。
だってこれからはこの広い部屋に一人ぼっちなんだもの。

そしてついに彼が家を出る時間になった。

『忘れ物ない?』
「名無しちゃんだけ」
『はいはい、毎回よく飽きないねその台詞』
「だな」
『じゃあいってらっしゃい』
「やだ」
『どこのガキだ』
「御幸家の子供です」
『そんな子供知りません』

玄関のちょっとした段差で、私はいつもより少しだけ身長が高い。
でも180くらいある御幸くんよりは小さいので、背伸びをしてみる。

「どうしたの?いってらっしゃいのチュー?」
『しません』
「ちぇー」
『頑張ってね、待ってるから』
「うん、じゃあいってきます」
『行ってらっしゃい』

そして閉まるドア。
やっと行った....と一息ついたらまた開くドア。あ、鍵閉め忘れた。

「ちゃんと毎日連絡するから!」
『長電話はご遠慮します』
「さみしいからって倉持とか沢村とか降谷とか小湊とかそれからそれから...」
『家には呼ばないけど会う』
「だめ!」
『やーだ。ほら、早くいかないとほんとに遅刻』
「会っても早く帰れよ!」
『わかったよ、過保護なんだから。ほら行った行った!』
「いってきます...」

そういうと戻ってきた彼は私の頭を数回優しく叩いて出て行ってしまった。

なんだか急にさみしくなって、目の前がかすむ。
なにこれ、あ、欠伸したからだ。もう一回寝よう。

なんて心を落ち着かせようとするけど、やっぱりダメ。

『っ....ばか御幸一也ぁ...』

次から次に涙があふれてくる。同棲なんてやっぱしないほうがよかったのかも。
今別れたばかりなのにもう会いたくなった。

泣いちゃだめ、私が泣いてもどうにもならない。
応援するって決めたじゃん。

「帰ってきて正解だった」

あーあ。ついに幻聴と幻覚まできたか。私ったらどんだけ御幸一也依存症なの。

鼻を掠めたのはさっきまで一緒にいた人の香り。
背中には逞しい腕がある。目の前には彼....って

『御幸...っ...くん?』
「どうも」

なんでいるんですか?

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