例えば、私の存在。
イレギュラーなものものとして簡単に片付けられるのだろうし、私もそれを望んでいる。
彼らの腐った中に入りたいとも思わない。
まあ、もっとも私の方がよっぽど腐ってるのかもしれないけど。




「…あっ、けいごぉっ、もっと…もっと…!」



ここは何の場所だ、と問いかけたくなるほど不釣り合いな女の喘ぎ声が、氷帝テニス部の部室にこだまする。
こいつだけじゃない、奥の部屋では忍足が、シャワー室では向日までも女を連れ込んでいるのがわかる。

きもちわるい。

私もそうやって生きてきたから、人のことが言える立場ではないけど、この行為は、偽善的で、あまりにも滑稽で、大嫌いだ。



"あいつ"が私を氷帝に通わせ、テニス部のマネージャーになんかしなければ一生関わることなんてなかったのに。
でも、こうやって学校にくるだけで、"あいつ"は私が一晩かけて自分を売って稼いだ金よりも何十倍よこすから、私はマネージャーを続けている。


私にはお金が必要だった。生きてくためにも、はやく"あいつ"のもとから去って独り立ちをしなければいけない。
感謝はしているけど、所詮は他人で、一人で生きていくと、両親が死んでから決意した。あいつらみたいにはなりたくない。




「あ?お前、まだいたの?
ったく、なんでお前みたいなキモいのがマネージャーやってんだよ。」


いつの間にか、向日がシャワー室から情事を終えて出てきたようで、部活の片付けをしてきた私につっかかってきた。めんどくさい。相手の女はどうせシャワー室に放置だろう、もう可哀想だとも思わなくなった。こんなやつらに簡単に足を開く阿婆擦れには興味がない。




「すみません。今どきます。」
「まじで、お前暗いな。こんど女紹介してやっから。」



向日さんは私を見下してそういった。その目はびっくりするほど冷たい。
だが、彼は知らないのだろう。

私は、れっきとした女で、今までもそれを武器にしてきた。



氷帝に"あいつ"にいわれて転入する時に、いくつか約束をした。
男装もその一つで、あとは二つ。
氷帝テニス部のマネージャーをすること。極力学校を休まないこと。
これさえ守れば、お金が手に入るのだ。
だから毎朝早く起きて、男に見えるように化粧を施し、分厚いメガネをかける。




"あいつ"がなぜ、こんな回りくどいことをするのかなんて分からないけど、私はただ言われたことをこなすだけでいい。男のふりをするから、こいつらに身体を売ることもない。

ここにいる女たちの考えなんて知らないけど、ただでセックスを許し、一方的な愛を与え続けるのは、馬鹿だと思う。



「…おつかれさまでした。」



ゆっくりと部室のドアを閉めた。
跡部のか忍足のかの女があんあん叫ぶような声をあげているのを聞きながら、私もまた夜の街へ繰り出した。自分のために。







**


連載したい(´・_・`)
オチとかまじで未定だし、まあ跡部かなーとは思うけど、相変わらずキャラがひどいやつになりそう。

あいつって榊先生ですもちろん。
男装ってあこがれるよね。


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