※BR




燃えるような、なんてありきたりだろうがたしかにそんな大きくて赤い、怖いくらいの夕日だった。
あの悪夢が始まったのもこんな感じの赤い日だった。全てが赤で染まり、洗っても洗ってもとれない。それがまるで俺みたいだと思った。
政府が俺を赦しても、きっとあいつらと彼女は俺を赦さない。この結末を選んだのは確かに俺だけど、一番いいと思って選んだのに最善は他にもあったのではないかとも思う。

ざくり、ざくり、枯れて落ちた木の葉を踏みつけて、他に音のしない道を一人で歩く。所々血でそまったそれらをみて、被害者は一体だれなんだろうと思った。
きっと俺以外の全員なんだろうけど、そこに俺もいれてほしいなんておこがましいかな。仲間に戻りたいだなんて、決して言えない。

歩いて歩いて、やっと俺は目的の場所を見つけた。もうあたりは真っ暗になっていて、木々の間からのぞくかけた月がしろくぼんやりと不気味だった。
ここならいいかな、と思ってまわりを見渡した。

ここは、どっかの無人島らしい。いつまでも寝ていた俺を起こして跡部が教えてくれたのが遠い昔に感じる。
そこのある程度ちいさく簡単に登れる岩場をみつけて、よいしょっと登った。





「まずは跡部だよね。あははははは。
まさか俺が殺すはずないって?本当にそう思ったの?ほんとあまちゃんだCー!俺にはピストルだってナイフだってあるよ。跡部は何もないね!ほら、抵抗しないで!はやく俺に殺されてよ。なに、逃げようとしてんだよ、むだだって、ほら。

あ?なに?みたの?
そうだよ、跡部を殺したのは俺だ。んーっとじゃあ次は忍足だね。ふふふ、なにで死にたいー?跡部はナイフだったよ。みてみて、いっぱい血がついちゃった。きたなー。まあ今からこれに忍足の血もつくんだけどね。混ざっちゃうね。

あ、岳人みーっけ!
なにしてんの?え、今からここ禁止区域になるのか、教えてくれてありがとー!禁止になる前に岳人殺しちゃうね。がっくんは、逃げそうだからこのピストルでずどーんって!冗談じゃないよ、なにいってんの。すぐに楽になるからね。

宍戸ー!探したよ。
次に殺すのは宍戸って決めてたんだ。見つかってよかった!変な顔しないでよ。ちなみに跡部も、忍足もがっくんも俺が殺しんたんだ。みんな綺麗に死んでったよ。
っち、邪魔ものがきたみたい。はやく始末しちゃうね。

邪魔すんなよなー鳳ー。
まあ、もうおわったからいいけどね!え?怒ってんの?ふーん、抵抗できるならすれば。
俺にはピストルもナイフも、忍足からうばった日本刀もあるんだよ。すごいでしょ。そんな睨まないでよー。しんだ後もその顔になっちゃうよ。

うわ、日吉よけないでよー!
日吉強そうだから背後狙ったのに、なんで気づいちゃうかな、もう。仕方がないのでこの拳銃ですばってしちゃうね。できれば日本刀使いたかったのに、ざんねーん。
これすごいよ、一瞬で倒れちゃうから。古武術もつかえないくらいはやいから。

樺地ー、ねえそこどいてよ。いるんでしょ有海。庇っててもいいことないよ。
んーそれでもどかないか、じゃあ先に樺地をやることにけってーい!有海はそのあとね、ちょっとまってて。
こいつでかいから一発でできるかわかんないけど日本刀なら大丈夫だよね。

なんでこんなことするのかって?有海、そんなの決まってんじゃーん!楽しいからだよ。ぜんぶ俺の思ったとおりになるんだよ。それにね、このゲームはやらないとやられるんだよ。自分の身は自分で守らないとね。なに泣いてんの、しらけるー。泣いても何にも変わらないよ。
んーしょうがないな、いいよ、最後に一個だけなら質問しても。
…なわけない。俺みんなのことだいっいきらいだった。テニスもみんなみんな。
もういいよね、おしゃべりは終わりだよ。さよならだね。もっと怖がって泣けばいいよ。ほら。
…っち!なんで俺のこと嫌わないんだよ!なんでこんなことしてんのに、有海笑ってんだよ。
ないてないよ。俺は別にないてなんか…。
うるさいうるさいうるさい。お前なんかすぐに殺せるんだからな!俺が今この引き金をひいたらすぐに有海は死ぬんだ!はやくみんなのとこいけよ。


……ねえ、さっきの質問だけど、ほんとは有海の膝枕も、みんなも大好きだったよ。」






ざぶん、ざぶん。
波がすぐ足元の岩場にぶつかる。潮風がやさしく吹いて、俺の血の匂いを消してくれるような気がした。

みんなはきっと天国に行ったけど、俺が行くのは地獄だから、もう会えないね。脳裏にうかぶのはいつだってみんなの笑顔と、有海だった。


波の音を聞きながら、俺は静かに海へと一歩をふみだした。





これが俺の正義
(裏切り者は一人でいい。)


prev next
back

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -