クソ透明人間
「よし!ついに…ついに出来たぞ!これぞ正しく、透明人間になれる薬だ!」
「なにやってんだ?」
「う、わあああああ!サンジ!!」
コントみたいな大袈裟なリアクションをとって転けたウソップに、不本意ながら手を差し伸べてやる。
「見、見るなあ!」
「なんだよ、その丸い玉。」
「こ、これか?これはなぁ…長年かけて俺様が調べに調べて毎晩寝ずに汗水垂らしてやっと今、ここに!発明した透明人間になる薬っ。題して、"透明人間玉"だ」
「へー、どれどれ」
「ちょ、食うなああああ!俺の人生の結晶がああああああ!!!!」
「だって、そんなこと本当にある訳ねーだろ?大体お前はそんな物開発してないでもっと戦闘に役に……」
ん?
あれ?
なんだこれ、手が
透けてるううう!?
「だ、だから言っただろーが!」
「なんだよコレ。嘘だろ!」
そうこう言ってる内に次々と透明になっていく俺の体。ついには、全て透けて見えなくなっちまったらしい。
「サンジ!どこだー!おーい」
「こりゃあ、いいや」
ニヤリと笑って、ある人がいる場所に急ぐ。そう、その"ある人"とは…
「名前、今ナミがお風呂上がったから次入っていいって伝えてって言ってたわ」
「うん、ありがとロビン」
そう、この俺が密かに毎日想いをよせてメロリンしまくってる名前ちゃん。
透明人間になったら何がしたい?そんな質問邪道だぜ。男は全員黙ってレディーのお風呂を覗き見るのさ。そりゃあ色々あんなことやこんなことだってしてみてえけど、そこは俺の騎士道に反する、止めておこう。というか犯罪だ。
「はあ…今日も言えなかった」
一人部屋に入って溜め息をつく名前ちゃん。一体どうしたんだい?その悩みの原因を作る奴は俺のキックで全員ぶっとばしてやるさ。
「好きって、言うだけなのに。何で言えないんだろ」
ええええええええええ
名前ちゃん…好きな奴いたんだ。誰だよ。とりあえずクソマリモ以外であってくれ!お願いします、神様。
ていうか、こんなだせー姿のまま失恋、…か。
俺がごちゃごちゃ考えてる間に、名前ちゃんはベットに横になって枕に顔を埋め、何か呟いている。小さくて聞き取れねぇ
近くに行くと
「……ジ…好きです。あーこっぱずかしい!駄目だー。でも、言わなきゃ。…………サンジ君!ずっとずっと好きでした!キャー、駄目やっぱ無理!」
え?
今なんて…
名前ちゃんも俺を好き?
ってことは………
両思いじゃねえか!
クソッ、風呂を覗こうなんてさっきまで考えてた自分が恥ずかしいぜ。そんなことしないでさっさと俺が素直に気持ち伝えてりゃあいくらでもあんなことやそんなことが出来たって訳だ。クソバカ野郎だ、俺は。
俺も、名前ちゃんに伝えよう。
"大好きだ"ってね。
よし、早速元に………
「戻れねえええええええええ!!!」
クソ透明人間
(勝手に飲むからだよ)
(助けてくれぇ…)
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