薄い意識の中で視界に入った自分の薄物に無意識に手を伸ばす。
その手が何か大きな力に掴まれるのをぼんやりと感じながら、自分が今どこにいるのかをおぼろげに思い出した。
「…目が覚めたか」
白い布団の上でうつ伏せになっていたあたしの上から降ってきた低い声。
ぞくりと背筋を辿った戦慄は僅かな歓喜を滲ませて、一気に覚醒した頭を必死に働かせて視線だけでその声のほうを振り向いた。
「信玄、様、あの、」
「御託はいらぬ」
掴まれた手首ともう一方の手首を一まとめに布団の上に縫い付ける力。
抗う術など何一つ持ち合わせてはいない。
「わかるか」
申し訳程度に腰に掛けられた布を勢い良く剥ぎ取られ、信玄様は背後からあたしの腰を持ち上げた。
途端にぬるりと内股を伝う感覚。
「、あっ?!」
ぐぷりと淫猥な音がした。
太くて硬い指が予告なく突き立てられ、そしてその内部で行き場を求める液体を掻き出すようにぐるりとまわされる。
「旨かったか」
開け放された四角い景色の外はまだ暗い。
あたしが気を遣った時間はさほど長くないだろう。
「…随分と余裕そうじゃな」
内股を伝う液体が布団についた膝に届く、その瞬間に引き抜かれた指と、代わりに押し付けられた熱い雄。
この男の身体は一体どうなっているんだろう。
「は、辛かったのなら、お一人で処理してもよかったのでは…」
「ふん、もったいのない事を」
気を遣っている間に乾いたあたし自身と、その代わりに蠢く白濁。
潤滑の役目をするに事欠かない。
叩きつけるように最奥へ入り込んだ雄を反射的にこれでもかと締め付けてしまう蜜壷は女の性なのか。
背後で低く唸りながら腰を掴む手は、恐らく白んでもいないだろう。
縫い付けられたままの手首は少し白んでいる。
この圧倒的な力の差はどうしようもない。
「あ、ぁ、ふう!そこ、そこ、だめ」
突き立てる動きに混じる、ぐるりと回される腰に背筋を再び歓喜が襲う。
子宮近くに押しつけられる雄の先端に忠実なまでに反応を示すこの身体が、この喉が、この声が。
「駄目、とは…っ、どのような状況で使うのだ」
揺れる視界と掠れる声。
もはや声にすらならない獣の嬌声。
「あっ!やぁ…っ、ん、きもち、いいっ」
「…いい子だ」
一層激しくなった律動。
今宵あたしは何度精を吐き出され、何度頂点に達し、何度気を遣ればいいのか。
答えなんてとうにわかりきっている。
答えは「何度でも」だ。
「う、あ、ああっ!…ん!」
「ふ、っく、はぁ…」
最奥から脊髄に響く甘い痺れ。
どぷりどぷりと子宮めがけて放たれる白濁。
もう薄くなっても、少なくなってもいいだろうに。
背後ではゆるゆると雄を出し入れする男の荒い息が聞こえる。
「一匹たりとも逃がすなよ」
ずるりと引き抜かれたその体積に抜けた力。
重力に従って布団の上へと落ちる腰。
臍辺りで音を立てたのは、落ちたあたしの愛液かそれとも溢れ出した男の子種か。
荒い息遣いの中で重くなった瞼に、あたしの頭を撫でる大きな手のひらの感覚が響いた。
淫蜜灯篭
あたしを抱き締める力強い胸板に額を押し付けて願う。
早く朝になって、
そしてまたすぐに、夜になって。
すんませんでした
by six.