雨のように零れる水が、太陽の光を受けてきらきらと煌めいている。その横にしゃがみこんでじっと見つめていると、頭上から呆れたような声が降ってきた。


「何してんだ」
「水を見てるの」
「…んなもん見て楽しいか」
「うん、とっても」


小十郎には分からないのかな、このきらめきが。きっと政宗さまなら、ろまんちっくだなとか言ってくれるに違いない。


「…器の大きい男は違うわね」
「は?」
「ううん、こっちの話」


小十郎は訝しげな視線を寄越していたが、如雨露の水が無くなるとさっさと水を汲みに行った、と思われたのだけれど。何故か私にあわせてその場にしゃがみこんだ。


「野菜も、愛情をこめて育てれば真っ直ぐ育つ」
「…うん」
「人間と同じだ」


今し方水分を与えた葉に指先で触れる。葉の上に溜まっていた丸い雫がすっと滑り土に返った。それを慈しむように眺めている彼の瞳には、忠義を尽くすべき主の姿が映っているのだろう。


「政宗さまは、幸せ者ね」
「そう思うか?」
「だって、こんなにも愛されているんだもの」


彼自身が気付いているかどうかは別として。少し妬いちゃうなあ、なんて言えば、小十郎は馬鹿野郎、と優しく微笑った。



by eight.




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