莉奈ちゃんに初めて会った日は覚えていないくらい遠い昔のことなんです。

ハルの1番古い記憶は泣いている莉奈ちゃんを慰めているシーンなんです。
家がお隣さんだったからなんですけど、ずっとハルは莉奈ちゃんと一緒でした。
ハルのお父さんは大学の先生なので、お母さんが同伴で遠くの学会なんかに行っている間は里奈ちゃんのお家にお世話になったりもしてました。
兄弟がいないハルと莉奈ちゃんは本当の姉妹の様に沢山の時間を過ごしてきました。少なくともハルは本当の妹だと思ってます。

莉奈ちゃんが、いつから獄寺さんを好きだったかは分りません…ハルが気が付いたのは莉奈ちゃんが高1になった頃でした。
どういうキッカケがあってなのかは分からないけれど、あの2人が一緒にいるのをたまに見る様になったんです。
ツナさんの宿題を手伝う獄寺さんの横で、『そんな教え方じゃ、ツナくんはわかんないとおもうよー?』なんてツッコミを入れて獄寺さんを怒らせたり、一緒にコンビニでお買い物していたり…とにかくハルの目には2人は仲のいいカップルの様に見えていたんです。

ツナさんにそれとなく聞いてみたんですが、お付き合いをしているというのはハルの思い違いだったみたいです。

だけど、莉奈ちゃんの獄寺さんを見つめる目は、恋する乙女そのものだったし、獄寺さんが莉奈ちゃんを見つめる視線もハルや京子ちゃんへのものとは違う優しい感じだったんです。

だからあの日、何事もないように空港で獄寺さんを見送る莉奈ちゃんの姿は不思議以外のなんでもなかったんです。
元気一杯に笑顔で手を振る莉奈ちゃん。その視線の先には獄寺さん。
2人ともニコニコしてました。次いつ会えるのか分からないのに。(ちなみにハルは号泣しましたよ!)

あんなに仲良しだったのにいつもみたいに会えなくて、莉奈ちゃんは淋しくない?って、聞いてみたら彼女は『獄寺くんの夢が叶うんだから、いいんだよ。ハルちゃん。』ってさっき獄寺さんに見せた笑顔をハルにむけたんです。

自分の気持ちを犠牲にできるくらいにこの子は愛してるんだ。そう思うとハルの方がせつなくて苦しくて泣いてしまったんです。

『お姉ちゃん私の代わりに泣いてくれてありがとう。』

そう言って私をぎゅっと抱きしめてくれた莉奈ちゃんの少し震える声と肩にハルはまた悲しくなったんです。


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だから、莉奈ちゃんから彼氏が出来たと聞いたときは正直驚きました。
そんな簡単に獄寺さんのことを忘れられるなんて思ってもいませんでしたから。

でも、彼女が選んだ道だから応援しようとも思ったんです。
誰よりも大切なたった1人のハルの妹だから。

だれの隣でもいい。莉奈ちゃんには笑っていて欲しいんです。

Love Ya



dear my sister



ただ、幸せになってほしいんです。

生まれた時から知ってる莉奈ちゃんが1番幸せそうにみえたのは、誰の隣でもなく獄寺さんだとハルは思います。

だから日本に着いたら真っ先に莉奈ちゃんの所へ行ってあの伝言を届けます。

短くてぶっきらぼうだけど、暖かいあの言葉を…



(きっと彼の言葉なら届く、そう信じています。)



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