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「聞きたいこと、だと?」


あれ、俺なんか地雷踏んだ?え、マジで?怖いんですけど頬傷のおっちゃん。
無理矢理押し殺して、うん、と小さく肯定した。そういえばこのおっちゃん達、武装してるけど……ハンター、じゃねえよなあ。見たこと無い武器だし、軽装すぎるし。
そもそもハンターなら、クルペッコ相手にあそこまでビビらないだろう。つまり、おっちゃん達はハンターじゃない。よし確定。


「此処ってさ、"ヒノモト"であってるよね?」

「……そうだが」

「お、良かった良かった。俺さ、人探さなきゃなんない訳よ。おっちゃん達知らない?」

「おっ……?!」


おっちゃんが顔を引き攣らせた。あれ俺また地雷踏んだ?何これデジャヴュ?うわぁい俺のバカヤロー!
おっちゃんの後ろではオレンジ頭の兄ちゃんが苦笑いしてるし、眼帯の兄ちゃんは腹を抱えて肩震わせてる、ありゃ十中八九笑ってるな。赤いの着てる兄ちゃんは―――大丈夫なのあの子、ちゃんと現状理解できてるの?ハンターさんは心配です。
そんなことを思いながら返答を待ってると、今度はオレンジ頭の兄ちゃんが俺の前に来た。うわぁ何この兄ちゃんうっさんくさ。お前に言われたく無いって?知るか。


「お兄さんさあ、誰探してるか言われて無いのに俺様達に聞いても無駄じゃない?」

「うっわぁ"俺様"だってそんな一人称本当にいるんだ。自重しろよマジ自重。あぁごめん、つい本音が」

「本音?!しかも辛辣!初対面なのに失礼すぎるんだけどこのお兄さん!!」


おぉ凄え、ナイスツッコミ。是非それであのニート門番にツッコミ入れてやれよ寧ろ突っ込め物理的に。あぁ分からない人はごめんよ。是非ハンターになりにおいでユクモ村まで。来る途中にジンオウガに襲われたらゴメンね俺の狩りそびれだと思う。


「だからゴメンってー。あとでその顔の汚れ落としてあげるから許してよ!三箇所も放置とかどうしたの兄ちゃん。あれか、ブナハブラ討伐でもしてた?それでも顔にかかるとか無いわマジ無いわ。ざまぁ」

「謝る気無いでしょ?!汚れじゃないしブナ何とかってなにそれ?!どう考えても俺様馬鹿にされてる!」

「馬鹿にされてんのは分かるのか。よし褒めてやろう!」

「もう嫌だこのお兄さん!!」


オレンジ頭の兄ちゃんがめっさ喚いてるけどスルーです総スルー。因みにブナハブラってのは虫ね。だから血が緑色なわけよ。あれの50匹討伐とか本当やりにくい。てか当てにくいんだよね。
ぽかんとしてる赤の兄ちゃんと、本格的に大爆笑中の青の兄ちゃんは取り敢えず放置。ごそごそとクエストの受注書を取り出して、依頼主の名前を探す。えーっと、どこだったかなー。


「そんなことはどうでもよくてさぁ、俺、依頼主に会わなきゃいけない訳よ。えーっと、名前、名前……あんれ、見つからん」

「どうでもいいって言うけど、お兄さんが話広げたんだからね?」

「律儀にツッコミくれてるのはアンタでしょーが。俺のせいにするな何様だよゴルァ。あ、俺様だったねサーセン」

「おい、話が進んでねえぞテメェ……」


オレンジ頭の兄ちゃんをからかって遊んでたら、おっちゃんにめっさ凄まれた怖いんだけど。ふざけてサーセンっした。
クエスト受注書を見ながらあーとかうーとか唸ってたら、おっちゃんが貸せ、と俺の手から引ったくった。サーセンおっちゃん、俺"ヒノモト"の字よく分からんのよ。


「この名前の人間がテメェに依頼したんだな?」


指差された一文をみると、どうやら名前らしい文字が見て取れた。こんな分かりやすいのに分からなかったって……大分ショックなんだけど、ショックでかいんだけど。


「厳密には違うけど、まーそうだねぇ。あ、名前コレ?えーっと……さ、さると、び…さ、る……すけ?」

「佐助だからね?!って……俺様?」


反応したのはオレンジ頭の兄ちゃんだった。え、マジでこの兄ちゃん依頼主?うっわぁこのクエスト断れば良かったな。いやあの雰囲気じゃそうもいかないけど。
漸く笑いのおさまった青の兄ちゃんと、現状が理解できたらしい赤の兄ちゃんも紙を覗き込んできた。


「……Hunter?お前狩人なのか」

「佐助、お主は狩人の要請をしたのか?」

「したけど……え、お兄さんなの?俺様、"ぎるど"ってところにお願いしたんだけど」


おぉう、青の兄ちゃん無駄に発音良いな。それに比べて、オレンジ頭の兄ちゃんは"ギルド"の言葉がたどたどしい。そんな弱点とか別に知りたく無いんだけど。
視線が俺に集まる中、ビンゴであろう事に内心で溜息。一気にモチベーション下がった、あーめんどくせ。
このままじゃ埒があかないと、腹を括って言葉を紡ぐ。


「まいど、ハンターズギルドでーす。派遣された……っていうとちょっと違うんだけど……まあいいや、俺がハンターのアルバ。依頼主は猿助で良いわけね?」

「だから俺様は猿・飛・佐・助!!」

「猿助ね、オケ把握した」

「聞く気無いでしょアンタ!」


もういやだ……!とうなだれる猿助を横目に、青の兄ちゃんがGood job!とニヒルな笑顔で言ってきた。え、なに俺何かしたっけ?



120226
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