笑ゥ狩人※閲覧注意


※モンハン混合・アナザー(=アルバ)
※ジョジョの奇妙な冒険・5部
※ジョルノがパッショーネボス
※護チ・暗チ共に全員生存
※それなりに仲良し
※暗チはリゾットが一番年上(28)、その他は20代
※カオス

※グロ描写(流血・死・食人行為)あり
※ハンターさんの頭の螺子は存在しません
※自己責任









「…………ということで、お願いしますね」


部屋の中に、ボスの声が響く。それに小さく頷く俺達に、ボスは穏やかに笑った。
ただ、相手を殺すだけの簡単な仕事。今回は大掛かりだから、という理由で、ブチャラティのチームと、俺達暗殺チームが一緒にやることになっただけ。
……以前殺し合いをした相手と、手を組むことになるか。この世界は、全くもって不思議なものだ。


「チャオ。取り込み中サーセン、ジョルノ居るー?」


踵を返して部屋を出ようとした瞬間、ドアの隙間から男がひょこりと顔を出した。へらへらと笑うその男にイラつくのは、俺達が持ち得ないものを持っているからだろうか。
俺達が睨むのも構わず、アルバ、と言うらしいその男は、ゆっくりとした足取りでボスに近付く。


「何ですか、アルバ。仕事中は極力避けてくださいと、僕は何度も言った覚えがありますが」

「だからゴメンって!てーか、緊急事態だから来たの!俺だって一応空気読むくらいの努力はしてんのよ?」


けらけらと笑うアルバに、ボスは隠しもせず溜息をついた。おそらく、この部屋にいるほぼ全員がそうしたいくらいだろう。実際、ギアッチョは俺の近くでキレかかっているし、フーゴも何故かフォークを構えていた。それはお前の武器なのか。
緊急事態、と言っていたが、どうもそういう雰囲気だとは思えない。


「ハイハイ。それで、どうしたんです?」

「ねえ、ジョルノ。"お腹空いた"」


紡がれた言葉は、あまりにも日常的過ぎて、何の反応も出来ず、ただポカンとしてしまった。
アルバはニコニコと笑ったまま。それとは対照的に、ボスの顔からは血の気が引いている。……どういうことだか、さっぱり分からない。
ボスはアルバから視線を逸らし、口を手で押さえる。まるでそれは、嘔吐くのを押さえているように見えた。


「おい、ジョルノ……大丈夫か?顔色が、」

「……大丈夫ですよ、ミスタ。皆さん、すみませんが、この件は結構です。アルバ、リゾットの持っている紙のところに行ってください。―――いいですね?」

「ちょ、ちょっと待ってよボス!幾ら何でもそんなのおかし―――」

「オケ把握した!いやぁ、助かるよー。そろそろキッツくなっちゃってさあ。……ってーことで、ネエロ、俺にそれチョーダイ?」


メローネの言葉を遮り、アルバは俺に近付いて手を差し出した。無言で紙を差し出すと、グラッツェ、と、片言に近い礼を返される。
一日は帰らないと思うー!と言い捨てて、アルバは部屋を出た。自然とボスに視線が向く。ボスの顔色は、一向に良くなる気配がない。


「ボス、いくらなんでもおかしいだろ。今回は殲滅を目的としてた。それを、たかだか空腹を訴えたあの男に全て任せるなんざ」

「だからダメなんです」

「は?」


プロシュートの言葉を、ボスは間髪いれずに否定した。何人かの声が重なった怪訝の声が、無駄に響く。


「アルバが自ら空腹を訴えるくらいだからこそ、ダメなんです」

「それって、どういう……」


トリッシュの言葉に、ボスは目を伏せた。心なしか、口を押さえている手が震えている。
だが、詳しい話をしようとはしない。出来ないのか、したくないのか。それとも。
沈黙が部屋を支配する。こつ、こつ、と、時計の針の音だけが響く空間の雰囲気は、最悪といっていい。
どれくらいそうしていたかは分からないが、不意に、情けない話ですけれど、と、ボスが口火を切った。


「……僕はあの光景を、二度と見たくありません。出来れば思い出したくもない。初めて遭遇したとき、胃の中が空になっても吐き続けましたから」


……正直、冗談だろうと思った。
俺達はギャングだ。自ら人を殺める事だってある。酷い光景を見る事だって、珍しくない。
いくらボスとはいえ、俺達と闘っていたりもしたんだ。そのボスが嘔吐くほどの酷い光景を、あのへらへらとした男が大丈夫だとは思えない。
ボスの吐いたため息は、小さく震えていた。


「どうしても気になるなら、覚悟があるなら、……勧めませんが、追いかければいい。ただし、トリッシュとミスタ、ナランチャ、フーゴ、ペッシはダメです。その五人に関しては、行くなと命令させて頂きます。他の方は、自己責任ということで」









……結局、ボスから命令された五人を除き、全員がアルバを追いかけた。辺りはすっかり暗くなり、闇夜は俺達の姿を包み隠してくれる。
だが、どうにも嫌な予感がする。屋敷が近いから?悲鳴が聞こえるから?それとも、……何百メートルと離れているはずなのに、むせ返るような血のにおいがするから?
周囲を警戒しつつ、じりじりと屋敷に近付く。そして、何十メートルかまで近付いて、その異質を、漸く理解した。


「なッ……!!」

「何だ、こりゃあ……?!」


反射的にメタリカを発動させ、数歩後ずさる。言葉を発したプロシュートとホルマジオ以外は、全員絶句するしかない。
本当に此処は現実なのかと疑うくらい、常軌を逸した光景だった。地面は血塗れで、夜であるというのにそれが一目で分かる。無造作に放り出されている肉塊は、人間であったもの、なのだろう。それもこれも、そうされて時間が経っていない。ぴち、ぴち、と、呼応するように血が滴り、小さな波紋を作っていた。

―――ぐしゃっ、ごり……がりがり、ぴちっ、ごしゃ、

少し離れたところから、形容しがたい、いや、形容したくない音が聞こえている。何をしているか、容易に想像が付いた。
腹の底からこみ上げてくる何かにぐっと蓋をして、一歩一歩進んでいく。

―――ぶつん。

一際大きく響いたその音に、足を止めた。……いや、止めざるを得なかった。想像していた光景よりも、突きつけられた現実は、ずっとずっと、異常で。
座り込んでいた人影は、俺達に気付くと、くるりと振り向いた。人の腕に、かじりついたまま、……そのまま、へたりと笑ってみせる。


「あれェ、ネエロ?みんなお揃いでどーしちゃったのさ。……ああゴメン、どーにもこうにも制御が利かなくてねー。ちゃあんと後始末はするからダイジョーブだって!」


いやあ、困った困った。
へらへらと笑うアルバに、困ったような素振りはない。それどころか、人の腕を飲み込むと、力任せに骸の足を引きちぎり、またかじりつく。
これは、現実なのか。酷く現実味がない。ただ、むせ返るくらいの血のにおいと、ぬるり、と足に感じる血溜まりだけが、これは現実だとせせら笑っていた。


「て……テメェッ!!何してやがる!!正気じゃねえッ!!」

「えー、アバさん酷いなあ、俺は正気だよ?食事してるだけだってー」


その答えが、もう既に正気とは思えない。食事?食べているのは認めるが、人間を食べるという行為を、俺は食事と呼びたくない。アルバは手を止めない。齧って、咀嚼して、嚥下。それの、繰り返し。
それ以上何も言えない俺達に、アルバは手を止めずに言葉を紡ぐ。


「俺のスタンド能力のひとつに、イビルジョーってのがいてね。恐暴竜・イビルジョー。高い体温を維持する為に捕食し続けなきゃならんくてさあ。いつもは理性で抑えてんだけど、やっぱり定期的に捕食しないと俺が本能に喰われちゃうから。俺が暴れて街中スプラッタするよりいいじゃん?始末だって出来るわけだし!」


そーじゃなきゃ、俺だって共食いなんかしないって。別に美味しいわけでもないしさあ。
ぐしゃ、ぶつ、と、人間であった肉をぞんざいに扱い、そして食べる。
アルバは全身が血で塗れていた。渇いて引きつっているその上に、新しい血が飛ぶ。
足を一歩、出してみた。ぱち、と、足と地面に挟まれた血が跳ねる。
その音に気付いたのか、アルバは手を止めて俺を見据えた。


「あ、それ以上こっち来ないでね。俺の射程距離に入るから」

「……俺達をナメてんのか」

「いんや。でもねぇ、射程距離に入られちゃうと、一歩で間合い詰めれちゃうからさあ」


頭からパクリッ、なぁんてイヤでしょ?
そう言って、血塗れの顔で、アルバは笑った。何処までも無邪気で、いつもムカついていた、あのへらへらとした笑顔。酷く不釣合いで、それでいて。


「それともなあに、俺に喰われてくれるの?」

「テメェッ!!」


へら、と笑ったアルバに、ホルマジオがリトル・フィートを発現させて走り出す。
その瞬間だった。任務中ですら感じないくらいの純粋な殺気が、俺達に向かって叩きつけられる。気づいたときには、座っていたはずのアルバが、人間とは思えないスピードで、ホルマジオに向かって跳んでいた。
―――いや、あれは、人間と呼ぶのすら躊躇う。手の大きさにそぐわない爪。耳まで裂けた口から覗く、無数の鋭利な牙。紅く光る眼。赤黒い何かのエネルギーで覆われた頭。
瞬時に理解した。ああ、こいつは、ホルマジオを、喰おうとしている。


「《メタリカ》ァッ!!」


ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!
……メタリカで切り裂かれたアルバの口から発せられたのは、最早声じゃない。苦痛の咆哮でしかなかった。人の出せる声を、超越していた。
空中でバランスを崩したのだろう、アルバはそのまま落下する。その間に、イルーゾォがホルマジオの腕を引いて距離を取らせた。これで、アルバの言う射程の外のはず。
顔を俺達に向けたアルバの眼は、まさしく、捕食者のそれだった。だが、その光は不意に消える。


「イテテ……いやあ、ありがとねネエロ!マッジョさんもごめんね?抑えようと思ったんだけど、ちょいとジョーの気が立ってるみたいで」


だから、またこうなる前に早くお帰り。
親が子どもに言い聞かせるように言うと、アルバは背を向けた。ふらふらとしているのをみる限り、まだ足りない、とか言い出すんだろう。
―――結局、アルバの姿がみえなくなるまで、俺達は誰も、動けなかった。




笑ゥ狩人
(おねがいだよ、おれはまだ、ひとでいたい)
(その願いは誰にも届かず)
(神はそれを嘲った)

(異端者が何を言うか)

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スイマセンでした。
ハンターさんが頭ぶっ飛んでるの書きたかった+5部書きたかった。それだけです。
いつもの発作ですのでどうぞ気になさらないでくださいwww←

ちなみに、視点が(一応)リゾットなのは、彼が暗チの中で一番好きだから且つ書きやすいからですやっほい!


2013/05/14 20:02




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